東武東上線・ときわ台。
沿線きっての高級住宅街が背後に拡がるため、
板橋の田園調布とも呼ばれている。
わが母校、上板橋一中の最寄り駅はここである。
今も昔もいたって庶民的な中学校だがネ。
入店したのは「キッチンときわ」。
下町を中心に散在する「ときわ食堂」とは
ゆかりがないものと思われる。
当店はこの11月に創業55周年を迎えたばかり。
ご同慶のいたりなり。
先客は1組の老夫婦のみ。
常連さんなのだろう、
傍らにシェフが立ってハナシに花が咲いている。
フロアの接客はママさんまかせ。
姿は見えないが厨房に息子さんがいるようだ。
聞くともなしに聞こえてくる会話から
店主は齢90歳を迎えたとのこと。
脚が弱って歩行がままならず、
殊に革靴は重たくてムリだという。
体力も衰え、握力が20以下で
調理に支障を来たしているという。
ビールを運んできたママがお酌までしてくれた。
先刻の日本酒の酔いも醒めて
冷たいビールが極上ののど越し。
たまりませんなァ。
サービスのお通しは可愛い甘らっきょが2粒。
意表を衝かれたが、これはこれでいい。
オーダーしたのはこの日の朝から決めていたカキフライ。
「住友」では魚介の天ぷら、
「ときわ」ではカキフライと連荘の揚げ物である。
唐揚げとトンカツは厳しくともシーフード同士ならOKだ。
らっきょをポリポリ、ビールをグビグビやっていると、
老夫婦の注文品が整い始めた。
「ほら、アナタが話しかけるから〇〇サン、
煙草吸えないじゃないの」
ママに諭されてシェフはキッチンに消えた。
〇〇サンは目の前の餃子に箸をつけることもなく、
店外の喫煙スポットへ。
ふ~ん、常連は餃子かいな?
それも2皿の二人前である。
一服し終えた〇〇サンが戻ったときには
肉野菜炒めが到着。
彼らの席がJ.C.の斜め右前につき、
状況は手に取るように判る。
なっ、なんだ! 今度は酢豚がやって来た!
=つづく=
沿線きっての高級住宅街が背後に拡がるため、
板橋の田園調布とも呼ばれている。
わが母校、上板橋一中の最寄り駅はここである。
今も昔もいたって庶民的な中学校だがネ。
入店したのは「キッチンときわ」。
下町を中心に散在する「ときわ食堂」とは
ゆかりがないものと思われる。
当店はこの11月に創業55周年を迎えたばかり。
ご同慶のいたりなり。
先客は1組の老夫婦のみ。
常連さんなのだろう、
傍らにシェフが立ってハナシに花が咲いている。
フロアの接客はママさんまかせ。
姿は見えないが厨房に息子さんがいるようだ。
聞くともなしに聞こえてくる会話から
店主は齢90歳を迎えたとのこと。
脚が弱って歩行がままならず、
殊に革靴は重たくてムリだという。
体力も衰え、握力が20以下で
調理に支障を来たしているという。
ビールを運んできたママがお酌までしてくれた。
先刻の日本酒の酔いも醒めて
冷たいビールが極上ののど越し。
たまりませんなァ。
サービスのお通しは可愛い甘らっきょが2粒。
意表を衝かれたが、これはこれでいい。
オーダーしたのはこの日の朝から決めていたカキフライ。
「住友」では魚介の天ぷら、
「ときわ」ではカキフライと連荘の揚げ物である。
唐揚げとトンカツは厳しくともシーフード同士ならOKだ。
らっきょをポリポリ、ビールをグビグビやっていると、
老夫婦の注文品が整い始めた。
「ほら、アナタが話しかけるから〇〇サン、
煙草吸えないじゃないの」
ママに諭されてシェフはキッチンに消えた。
〇〇サンは目の前の餃子に箸をつけることもなく、
店外の喫煙スポットへ。
ふ~ん、常連は餃子かいな?
それも2皿の二人前である。
一服し終えた〇〇サンが戻ったときには
肉野菜炒めが到着。
彼らの席がJ.C.の斜め右前につき、
状況は手に取るように判る。
なっ、なんだ! 今度は酢豚がやって来た!
=つづく=