2017年12月27日水曜日

第1774話 祝・55周年の洋食屋 (その2)

板橋の田園調布、ときわ台の「キッチンときわ」。
お願いしたカキフライを待つ間、
常連・老夫婦のテーブルを盗み見している。
いや、盗むつもりはないが丸見えなのである。
 
二人で餃子2皿、肉野菜炒め、酢豚、ライス2皿。
ビールも頼まず、お茶だけで
ひたすらの夕食が今まさに始まろうとしていた。
 
だけどさァ、みんな中華モンじゃないの。
キッチンを名乗りながらも
ここは中華が一推しなんだろうか。
ハナからカキフライと決めていたから後悔はないけれど、
あらためて壁に貼りめぐらされた、
品短(品書きの短冊)を見上げる。
 
ちょいと紹介してみよう。
餃子と肉野菜炒めは各450円、酢豚定食が850円だ。
中華はほかに麻婆豆腐とチャーハン。
ラーメンはないが焼きそば&つけめんはある。
そうだよねェ、ラーメンはスープの仕込みが厄介だもんなァ。
 
どんぶりモノにうな玉丼があった。
うな丼、あるいはうな重は見当たらない。
700円の玉丼がどんぶりでは一番安い。
おっと、開花丼かァ・・・こりゃ今どき珍しいな。
 
じっくり眺めてみて、やはり洋食が主流だ。
特に揚げ物がズラリと並んでいる。
ヒレカツ・ロースカツ・海老フライ・鮭フライ・平目フライ・
キスフライ・アジフライ・イカフライ・・・
ややっ、わかさぎフライまであるじゃないか!
 
実は今朝がた、当店ではカキフライにしようか、
それとも平目フライにしようか、ずいぶん悩んだのだった。
今や東京のほとんどの洋食店から姿を消した平目フライ。
一昔前まではたとえあっても安価なオヒョウのフライだった。
そのオヒョウですらトンとお目に掛からなくなった。
しかもライス付きで800円とカキの850円を下回る。
信用しないワケじゃないが見送りを決め込んだ次第なり。
 
カキフライは5カン付けで現れた。
付合わせはマカロニサラダ・きゅうり・トマト・キャベツ。
そこにタルタルソースとレモンスライスが添えられている。
やや小ぶりのカキは細かいパン粉をまとって
カリッと揚げられており、中は半生状態。
及第点はあげられるが
やはり連荘の揚げ物はけしてOKではなかった。
 
朝起きたときにはじゅうぶんイケると思ったけれど、
それは結局、机上の空論、
もとい、食う論に過ぎなかったのだ。
現実を甘く見ちゃあイケない。
自戒しながら帰途に着いたのでした。
 
「キッチンときわ」
 東京都板橋区常盤台2-6-1
 03-3967-7230