2017年12月1日金曜日

第1756話 谷中でちょい飲み3軒 (その5)

ところは谷中の名所、谷中銀座は「立呑 写楽」。
外人の親子連れが店側と一悶着の巻である。
目の前の光景によほど中に入ってやろうと思ったが
君子(?)危うきに近寄らず、っていうかァ、
憤懣やるかたない夫を妻がなだめ始めたのだ。

笑顔すら浮かべて彼女曰く
「これも勉強ってことなのヨ、アナタ」
知的にして冷静である。
彼らの祖国の大統領とは真逆であった。

この一言により、大事に至ることなく、
一件落着の気配を察知して店をあとにした。
でもネ、アレで800円はないぜ、ジッサイ。
国際基準から大きく逸脱してるもの。
にっぽんの恥と言い切っても過言ではあるまいて―。

後日、事件の10日後くらいだったかなァ、
再び「写楽」の前を通りかかると
じゃがバタ・ラクレットには臆面もなく、
そのまま800円の値付けがなされておりました。
反省の色まったく見えず、憂うべし。

それはそれとして「写楽」のあとだ。
そのまま谷中銀座を西下して
よみせ通りとのT字路にぶつかった。
レトロ感あふれるすずらん通りの飲み屋かバー。
あるいは三崎坂方面の居酒屋か大衆鮨屋。
まあ、そんな選択肢があった。

ここでひらめいたのは未訪の1軒。
焼きとんが主力の飲み屋「花いち」である。
よみせ通りの南端に近く、
目の前には地域の人気パン店「リバティ」がある。

「リバティ」の人気商品は
レーズンいっぱいのぶどうパンと
厚切りトンカツをはさんだカツサンド。
しかしJ.C.のイチ推しは
コンビーフの三角揚げサンドですがネ。

「花いち」の先客はゼロ。
カウンターの端では店主が居眠りしていた。
口明けとみえて炭火を熾し始める。
瓶ビールの突き出しはキンピラである。

焼きとんは好物のシロとレバをタレで2本づつ。
当店の焼きとんは1種2本しばりなのだ。
モグモグ、ふむ、予想を上回る出来映えじゃないですか。
シロは歯応えからしてテッポウだな。

=つづく=

「立呑 写楽」
 東京都台東区谷中3-9-15
 03-5834-8474