2017年12月13日水曜日

第1764話 牡蠣と鰯と鹿肉と (その1)

大田区・大森へ。
この半年で3回目の遠征になる。
まっ、そんなに遠方ではないから遠征はオーバーか。
相方は飲む・食う・歌うの”さんとも”、O戸サンである。

少し早めに着いたので駅東口をぶらぶら。
西口方面に抜けるガードのそばに
どうしても気になる中華料理店が1軒。
大森駅東口の階段を降りて右手にゆくと、
ガード下に飲食店が連なっている。

鯖専門の定食屋、行列の絶えないとんかつ屋などが
並んでおり、その先にある町中華は「喜楽」という。
10年ほど前に訪れた際、ふと思った。
ここは小学生のときに一度来たんじゃなかろうか?
もやしソバを食べたように思う。

記憶は確かでなかったけれど、
年を経るに伴い、逆に確信度が高まっている。
今ではまず間違いはないという気がするくらいだ。
近いうちに再訪してゆっくり飲食し、
頃合いを見計らって年配のスタッフにでも訊ねてみよう。

当夜のディナーは「喜楽」ととんかつ屋のあいだにある、
「オステリア・イタリアニタ」。
何度も通りすがっているものの、初見参だ。
店内は1階にカウンター、2階にテーブルといった造り。
予約の有無を問われたけれど、入れてはいなかった。

何とか入口に一番近いカウンターの端っこに座れる。
祐天寺の「かっぱ」と「立花」もそうだったが
近頃、カウンターの末席ばかりだ。
いえ、席にありつければ、
ポジションの良し悪しにはあまりこだわらないけどネ。

すでにビールは引っかけて来たので
初っ端から赤ワインにする。
グラスワインの揃えはなかなかに豊富だ。
シェフがシチリア島で修業したため、当地の銘柄が多い。

シチリアの主力セパージュ、
ネロ・ダーヴォラは重くて苦手。
その旨伝えてピエモンテ産を所望すると、
ランゲ・ネッビーロがあった。
ネッビオーロはわが最愛の品種である。
これはありがたい。

相方とグラスを合わせ、アンティパストの品定めに入る。
ボードにはそれほど個性的ではないにせよ、
それなりの料理が明記されていた。

=つづく=