2018年1月2日火曜日

第1778話 都の西北から東北へ (その2)

早稲田の中華屋「メルシー」にて昼下がりのビール。
相席のキャリアウーマンが書類に目を通し始めたので
もうジャマはしないことにした。
ちなみに彼女の注文はタンメンであった。
だよねェ、野菜は美容に欠かせんもん。

われわれのオーダーはチャーシューメンとオムライス。
オムライスなんかまず頼まないが
女性はいくつになっても
たとえオバさん、オバアさんになってもコレが好きだよなァ。
いや、男でもファンは少なくないか―。

J.C.はどうせ食べるなら
オムレツとチキンライスを別々にしたい。
オムレツでビールを飲ってから
チキンライスを文字通りメシとするわけだ。
それが正しい男の道だと思うんだけんどねェ。

実はチャーシューメンもまず注文しない。
だけど「メルシー」のチャーシューはいいつまみになるんだ。
しかも当店のラーメンスープは無茶苦茶しょっぱいから
チャーシューの味付けに一役買ってくれるし、温めてもくれる。
冬場の冷めたチャーシューで
冷たいビールってのもなんだかなァ・・・なのである。

結論から言うと、オムライスは悪くなかった。
昭和の下世話ない匂いプンプンで懐旧の思いをくすぐる。
オムの上のケチャップはいらないくらいで
やっぱりチキンライスだけのほうがいいなァ、
なんて未練心につまづきながら
メニューボードを見上げると、ここにチキンライスはなかった。
代わりにポークライスがあった。

タンメンを食べ終えたキャリアウーマンが
別れの言葉と会釈を残して卓を離れる。
うん、なかなか良い女(ひと)であったな。
今どきの若いギャルとはだいぶ違うな。
考えることがどうにもジジむさいネ。

細い商店街を抜けて都営荒川線の早稲田駅。
北区・王子あたりで飲むつもりだった。
すると、何だ、なんだ!
到着ホームがガキンチョでごった返してるぜ。
ちょうど貸し切り電車が到着したところで
中学生が男ばっかり、黒山のごとくに吐き出されている。

一緒じゃなくて助かった。
出発ホームに並びかけると、
再び、何だ、なんだ!
今度は女子中学生が団体で後続に着いたじゃないの。
ピーチクパーチクかしましいことこのうえない。
こりゃあ、駄目だ、行く先変更!
チンチン電車をあきらめて
新目白通りを歩きだした二人でありました。

=つづく=

「メルシー」
 東京都新宿区馬場下町63
 03-3202-4980