2018年1月30日火曜日

第1798話 ラーメン転じて焼き鳥丼 (その3)

 東京十社に名を連ねる根津権現のすぐ隣り、
「鶏はな」にて焼き鳥丼を注文したところ。
待つこと7分。
どんぶりの上には
串を抜かれた4本の焼き鳥が並んでいた。

ささみ&団子は塩、正肉&ねぎまはタレである。
ささみにはニセわさび。
正肉&ねぎまは同じモモ肉で
長ねぎがアル・ナシの違いだ。

ささみ以外はいずれも水準以上。
炭火焼きの効果てきめんである。
3種の薬味は粉山椒・白胡椒・黒七味。
モモ肉に山椒のみを振りかけた。

脇役の小サラダ、鳥スープ、青菜漬けはそれなり。
サラダは普通、スープに滋味あり、青菜はおざなり。
メニューに1000円以下のものがないのは
フツーのリーマン&OLをターゲットにしていない証し。
普段は根津神社の参詣客もさほどではなかろうし、
夜を重視の営業形態なのだろう。

夜の品書きでは愛知産うずらの丸焼き(1080円)と
龍馬鍋(1800円)が気になった。
同鍋は坂本龍馬が好んだ、
にんにく入りの軍鶏すき焼きだという。

食後は散歩の継続。
森鷗外旧居の観潮楼跡へと続く藪下通りを往こう。
鷗外を師と仰いだ永井荷風がたびたび行き来した道だ。
ところが日医大つつじ通りを歩きながら
1本手前を右折してしまった。
すぐ気がついたが面倒臭くなってそのまま直進。
ほどなく1匹の黒猫に遭遇した。

手招きすると足元に寄ってくる。
頭をなでてやったら猫科動物特有のゴロゴロ音を発する。
赤い首輪をしているから飼猫であることは明白。
どうりで人懐っこいわけだ。

立ち去り掛けると、背後で立ち話をしていたオバさんが
「〇〇チャン、よかったネ」―
猫に声を掛けた。
〇〇チャンがミーチャンだったか、ピーチャンだったか
聞き取れなかったがタマチャンじゃないことは確か。
きっと、ご近所の人気者なのだろう。

道を間違えたおかげで黒猫に出会えたわけで
人の日常は何が幸いするか知れたものではない。
団子坂に出て白山下から桜の名所・播磨坂。
この寒いのにまったくよく歩くヨ、オッサンがヨ。

=おしまい=

「鶏はな」
 東京都文京区根津1-27-1
 03-5834-8079