2018年1月29日月曜日

第1797話 ラーメン転じて焼き鳥丼 (その2)

目当てのラーメンにフラれ、
見つけたラーメンは意に染まず、
島倉千代子のデビュー曲が頭の中を回り始めた。

  ♪    想う人には 嫁がれず
     想わぬ人の 言うまま気まま
     悲しさこらえ 笑顔を見せて
     散るもいじらし 初恋の花  ♪

        (作詞:西條八十)

1955年にリリースされた「この世の花」の2番である。
すでにかような日本女性は絶滅してしまい、
日本列島、どこを探しても生存してはおるまい。
嘆くべし!

なあんて書いてると、
「アナクロ男がまた寝言いっちょるワ」―
世の女性たちに一蹴されるのが関の山。
あゝ、昭和は遠くなりにけり。

想わぬラーメンに妥協せず、
思いついたのは根津神社の隣りに位置する1軒。
「鶏はな」という名の東京軍鶏専門店だ。
ランチタイムに数種類の親子丼を提供している。
ここは以前、「山本」なるとんかつ屋だった。

2階に上がると数組の先客はご婦人ばかり。
どんぶりの中身まで目に入らぬが
一様に親子丼を召し上がられている様子。
昨今、土曜の昼下がりにおける、
余裕のランチは女性の特権となった模様だ。

ランチメニューを紹介してみよう。

 水郷赤鶏親子丼―1080円
 東京軍鶏そぼろ親子丼―1290円
 東京軍鶏親子丼―1490円
 東京軍鶏とフォワグラ親子丼―1900円
 焼き鳥丼―1130円
 鶏ひつまぶし―1080円

親子丼をいただくつもりが
ふと、気に迷いが生じた。
もともとそれほど好きではない親子丼、
惹かれたのは焼き鳥丼であった。

お運びのオネエさんに
「焼き鳥は水郷赤鶏? それとも東京軍鶏?」―
訊ねると
「軍鶏です!」―
まさに当意を得たりの回答であった。

=つづく=