2018年1月19日金曜日

第1791話 私を谷中に連れてって (その2)

よみせ通りにオープン間もないカフェの店先、
女性スタッフに入店を促され、
「友人と待合わせてるから、あとでちょっと寄るネ」
「ええ、ぜひ!」

東京メトロ千代田線・千駄木駅でH谷サンをピックアップ。
そのままカフェ「CIBI」に舞い戻った。
くだんの彼女、再び笑顔でわれわれを引き入れる。
天井の高い店内は居心地がとてもよい。

アルコールは豪州産の瓶ビールと
同じく豪州産の白・赤ワインのみ。
「オーストラリアのビールって軽いタイプ?
 それとも重いの?」
「軽いビールですヨ」
それならよかったと、お願い。

運ばれたビールのラベルには
クーパーズ・ブリュワリー ペールエール
とあった。
あちゃ~、やっちまっただヨ。
ペールエールはけっこう重いんだよな。
彼女に罪はないが、ちと恨めしい。

ところがどっこい、飲んでみたら意外にさわやか。
英米のそれとは明らかに違う。
胸をなでおろし、さて、何かつまみを所望しようかの。
すると今度はまったく救われぬ状況に陥った。
何となれば、タルトやケーキの類い、
いわゆるスイーツしかないんでやんの。
ビールにレモンタルトじゃどうしようもないじゃん。

いくらなんでも彼女の横顔を愛でながら
君がさやけき目の色や君くれないの唇を
酒の肴とするにはムリがある。
よって375ml 入りの小瓶1本づつで退散を決め込んだ。

帰り際にビジネスカードをもらうと、
ヘッドクォーターは豪州のメルボルン。
はは~ん、どうりでネ。

2軒目は谷中ぎんざのメインストリートから
路地に入ってすぐの「一寸亭」。
これは「いっすん亭」ではなく「ちょっと亭」と訓ずる。
昔の林家こぶ平、
今の林家正蔵(9代目)師匠が気に入りの店で
もやしそばが一番の売れ筋だ。

当店は何度か訪れているが
それでも直近は丸2年前の12月。
確か、かにチャーハンをいただいた。
まずまずの仕上がりに
舌鼓を打つほどではなかったものの、
クラブミートはそこそこ入っていたのを覚えている。

=つづく=

「CIBI」
 東京都文京区千駄木3-37-11
 03-5834-8045