2018年1月12日金曜日

第1786話 一富士二貴三白鵬 (その5)

横綱・白鵬の張り差しである。
巷間、張り手、張り手と強調されるが
あれは正しくは張り差し。
かつての横綱・朝青龍のような、
バッチン、バッチンのモロ張り手では断じてない。

別段、見苦しくもないし、差し支えないんじゃないの?
立ち合いにおける一つの技術だろう。
白鵬は右手で張るから右脇が甘くなり、スキができる。
対戦相手にはそこをつく戦法も生まれるハズだ。

勝負が決まったあとのダメ押しにしたって
それほどアコギなものでもない。
何たって、のたり松太郎なんか、
気に入らない審判めがけて相手を投げつけててたもの。
いえ、冗談ですって―。
エッ? もっと真面目に書け! ってか?
ハイ、ごもっとも。

いずれにしろ、ダメ押しはほめられないけどネ。
むしろカチ上げのほうがよくないな。
本人は相手を傷めるつもりなどなくとも
サポーターをグルグル巻いたヒジを使うのはいけない。
当面、そこんところを改善してくれれば、
彼の土俵さばきに注文はない。

おっと、大事なことを忘れてた。
先場所、千秋楽の万歳三唱である。
TV解説者の北の富士サンが
「やり過ぎだヨ」―
吐き捨てるように苦言を呈したけれど、J.C.は擁護したい。

優勝力士インタビューのコメントにもあったが
とにかく白鵬は日馬富士と貴ノ岩を
とりわけ日馬富士を再び土俵に上げてやりたい一心。
そのためには世間のダメ押し、
もとい、あと押しが必要不可欠だから
ファン受けする奇策を用いたのだ。
その証拠に福岡の観客は大喜びで唱和していた。
場の雰囲気にちっとも違和感を与えないし、
白鵬! よくやってくれた、というのがJ.C.の素直な印象だ。

でき得れば時計の針を元に戻したい。
白鵬だけでなく日馬富士も貴ノ岩も
あの夜、同席した力士はみなそう思っているハズ。
夢がかなわぬ現実に臨んで
これぞベストのパフォーマンスと判断し、
あとの批判や叱責を承知のうえの確信犯だったのだ。
協会や横審や解説者が何と言おうと、白鵬は立派。
行動を起こしてこそ、革新が実現するわけで
口を閉ざしていて、いったい何が起こるというのだろう。

=つづく=