2018年1月25日木曜日

第1795話 私を谷中に連れてって (その6)

谷中は初音小路の「C'est Qui?」。
詳細が判らぬままににんじんサラダを注文した。
すぐに運ばれたソレはゆでたにんじんに
スパイスのクミン・シードを散らしただけのもの。
まあ、ヴィネグレットを使うキャロット・ラペよりは
赤ワインとの相性がいいから文句はない。

キャロットにクミン、この組合わせは
パリの三ツ星、「ランブロワジー」のシェフ、
ベルナール・パコーが発案した。
主菜に成り得るべくもなく、
単なるガルニチュール(付合わせ)的存在だ。

1995年の夏、訪れて味わったものの、
誰でも作れるシンプル極まりない料理。
別段、印象には残らなかった。
アイデア自体はユニークといえばユニークだけど―。

ワインを飲み切っての会計は7千円ほど。
高くはないが安くもない。
ただ、白ならともかく、赤を美味しく飲ませるには
惣菜にもう一工夫ほしいところだ。

オッサンたちの夜はまだ終わらない。
とうとう5軒目である。
よみせ通りに戻って焼き鳥居酒屋の「ひょうたん池」。
いただいたのは信州・諏訪の銘酒、真澄の樽酒だ。
飲み口はよいけれど、
普段口にしている菊正宗の樽のほうが舌に合う。

料理に惹かれるものはない。
おしなべて凡庸である。
鳥団子が名物らしく、
薬味を使い分けて5種類の品揃えを誇っている。

べつに食指は動かなかったが
2種を2本づつお願いしてみた。
ゆず胡椒とあとは何だったっけ?
山椒か七味だったかな?
もうこの頃になると、
酔いが回って記憶は曖昧模糊。
まことにお恥ずかしい限り。

豪州産ビールに始まり、アサヒの瓶ビール、
浙江省の紹興酒、トスカーナのキャンティ、
アサヒの生ビールを経て、ロワールのサンセール、
仕上げは信州の樽酒ときたもんだ。

いや、飲みも飲んだり。
相方をメトロの千駄木駅まで送り、
年寄りの冷や水ならぬ、
暴飲は終止符を打ったのでありました。

=おしまい=

「C'est Qui?」
 東京都台東区谷中7-18-13
 電話ナシ

「ひょうたん池」
 東京都文京区千駄木3-44-11
 03-3822-3534