2018年1月24日水曜日

第1794話 私を谷中に連れてって (その5)

いまだに谷中で飲んだくれている。
4軒目は初音小路の「C'est Qui ?」。
何度も店先を通過はしているけれど、
今回が正真正銘の初訪問だ。

すでに営業時間を記したボードを見ており、
「月曜定休」は把握していたものの、
それ以外の予備知識はまったくない。
ただ、どことなく嗅覚を刺激する何かが匂って
(ここはアタリ!だろう)
そんな予感はしていた。

(うわっ、何じゃこりゃあ! ほぼ満席じゃないの!)
10席ほどのカウンターはいっぱい、イッパイ!
半ばあきらめかけたところを
お客さん同士がどうにかスペースを作ってくれて
入口そばの、それも角カドに収容されたのだった。
とにもかくにも、ありがたや。

ビールはじゅうぶん過ぎるほどに飲んできた。
ここでは迷わずワイン。
相方は「necojitaya」でキャンティを
たっぷり召し上がったにもかかわらず、
さらに赤ワインで問題ないと言い放つ。
何度か酌交に及び、酒豪ぶりを目の当たりにしたが
あらためて再認識した次第なり。

品揃えはボルドー系が多い。
カベルネ・ソーヴィニヨンは得意としないから
ブルゴーニュを探したものの、見当たらない。
代わりにサンセールのピノ・ノワールだけがあり、
ほかに選択肢はない。

グラスを合わせると、
アミューズ・グール風の小皿が提供された。
自家製マヨネーズを添えたゆで玉子だ。
パクリ、モグモグ・・・フム、悪くないネ。

続いて野菜をふんだんに使用したスープが登場。
ルックスはちと野暮ったいが
いかにも田舎の家庭的な味わい。
まあ、プロがあまり作りたがらないタイプである。

本格的な料理はなく、
カジュアルなワイン・カフェといった感じの店だから
ボトル1本お願いすれば、それで事足りるのだけれど、
壁に貼られたメニューににんじんサラダを発見。

マダムに
「にんじんサラダってキャロット・ラペのこと?」―
問い掛けると、
「いいえ」―
ただそれだけで説明がない。
愛想ナシやなァ、もう!

=つづく=