2018年1月10日水曜日

第1784話 一富士二貴三白鵬 (その3)

一連の騒動も今や主役は
土俵を降りた日馬富士ではなく、降ろさせた貴乃花。
人としてあるまじき行為だったのは
伊勢ケ浜親方と日馬富士が謝罪に訪れた際、
二人の面前から車で走り去ったこと。
しかも現役の横綱、日馬富士が正装の羽織袴を付けて
誠意と謝意を表しているにもかかわらずだ。
拒絶された二人の心中を察すると胸が痛む。

貴乃花に吹く世間の風は
フォローとアゲインストがほぼ半々の様子。
現役時代からの根強い人気が
多分に影響しているのだが
けして贔屓の引き倒しにならぬよう、
冷静にニュートラルな立場に立って判断したいものだ。

最後に横綱・白鵬について語りたい。
その前に横審の常套句、
”横綱の品格”とはそもそも何であろうか?
皆さん、さぞご立派な品格を備えた方々らしい。
朝日新聞の時事川柳にこういうのがあった。

 品格をそっくり返って語る人

言い得てズバリじゃないか!
とかく品格の無い者に限って
品格を語りたがるものなんだ。

そして横綱相撲とは何であろうか?
大鵬、北の湖、貴乃花(二代目)のように
体格と体力に恵まれた横綱と、
栃ノ海や若乃花(三代目)など、
小兵横綱を比べるのは土台無理があろう。
小兵が鷹揚に横綱相撲なんか取ってたら
一発で土俵の外に弾き飛ばされちまうヨ。

それでいて負けが込み出せば、
横綱の名にふさわしくない、無様だ、
だらしないと非難ごうごう。
はっきり言ってしまえば、横審なんかないほうがいいネ。

勝利と品格を同時に求められる横綱。
負け続けたら引退に追い込まれる横綱。
不祥事を起こせば一発退場で
復帰の望みを永遠に断ち切られる横綱。
他のスポーツには例を見ない重責に
身も心もボロボロになることだろう。

他のスポーツが出てきたのを機会に
他のスポーツの暴力に目を向けてみようか。
日本人に人気の野球はどうだろう。
日常茶飯事とは言わないまでも
グラウンドでの乱闘シーンなんか
しょっちゅう見掛けてるでしょ、えっ、皆の衆?

=つづく=