2018年11月14日水曜日

第2002話 レバニラと餃子を食す (その4)

学生風がハネた紅しょうがを
蟹目で見ながら老酒をお替わり。
レバニラ炒めも後半に入り、
箸の上げ下げのスピードがガクンと落ちてきた。

そもそも大盛りの1皿を食べ切る、
かような習慣がまったくないのだから致し方ない。
残りを学生風に譲りたいくらいのものだ。
たぶんコヤツなら歓んで食うだろうヨ。

見渡せば、店はほぼ満席の盛況ぶりである。
空いていた右隣りに独りのオジさんが着席。
真横だと顔が見えないが
雰囲気から推測して50代だろうか―。

カウンターは揃いも揃って孤独のグルメ状態。
”でしゅね~?娘”にオジさんが餃子を3皿注文した。
本店は2皿しばりだから珍しくもないが
しばりのない当店で単身の3皿はあまり見かけない。

食欲の秋たけなわ。
オジさんはさほど時間を掛けず、キレイに平らげた。
合いの手の飲みものはお冷やだけである。
わが身を振り返ると、
はたして餃子をビール抜きで食べたことがあったろうか。
飲茶の際にも中国茶はほとんど口にしないし・・・。
とてもとてもこんなマネは逆立ちしたってできやしない。
いや、ちょいと待て!
身体が固いため、逆立ち自体がもはやムリだネ。

店頭にはテイクアウトの客がパラパラと現れる。
中には10人前なんて主婦もいる。
50個だぜぃ、子どもが何人いるか知らんんけれど、
今夜は家族そろって餃子合戦だネ。

2杯目の老酒を飲み干して、さァ、そろそろ腰を上げよう。
いや、再びちょいと待て!
両サイドの同朋に恵まれた(?)せいで
気がそっちにバラけてしまい、2軒目の吟味がまだだった。

オジさんが醤油ラーメンを追加したこともあり、
こちらも負けじと3杯目の老酒を所望する。
せっかくだから未食のラーメンを拝んでおきたいしネ。
その間に身の振り方を考えればよい。

はたして運ばれたどんぶりには
バラ肉チャーシュー・シナチク・わかめ、
そしてここにも当店で多用されるもやしがあった。
無粋にのぞき込むことはでこなかったが
中細の麺はほぼストレートに見えた。

結局は薬局、レバニラを完食して腹は十二分目。
腹ごなしを兼ねて新大橋通りを西へ歩く。
行く手の住吉・菊川・森下には酒場が目白押し。
手ぐすね引いて待っているに違いない。

=おしまい=

「亀戸餃子 大島店」
 東京都江東区大島4-8-9
 03-5628-0871