2018年11月28日水曜日

第2012話 釣り金目と〆さば

渋谷区・初台の「マチルダ」をあとにして
京王線で一本の杉並区・下高井戸へ。
都内に残された数少ない昭和レトロの駅前市場に
ふらり立ち寄ると軒並み店仕舞いの有り様。
その中でポツンと営業していた鮮魚店の品揃えが豊富だ。
都心ではあまり見かけない、
香箱蟹(ずわい蟹のメス)がとても美味しそう。

駅から至近の「吾作」に入店した。
地元の常連客で大そう賑わっている。
ようやく待望の生ビールにありつけた。
キリン一番搾りの生中は
他店の生大に近いくらいのビッグサイズ。
そうだヨ、中ジョッキはこうでなくっちゃ!
ヒドい店だと、タンブラーで生中を出すもんネ。

突き出しの鱈子昆布巻きはかなりの量。
これだけでジョッキ1杯は楽勝だ。
おすすめボードから釣り金目刺しと〆さばを選抜した。
何でも「吾作」の店主はハマちゃん並みの釣りバカらしい。
釣果を店でも提供するとのことだが
この日の品書きに珍しいサカナは見当たらなかった。

金目は薄造りで登場。
ポン酢と紅葉おろしでいただいて、まことによろしい。
その上をいったのが〆さばである。
比較的浅い〆具合ながら、この鮮度ならこれでよい。
脂のノリがクドすぎず、ゼツのミョウだった。

頭上のTVが近年はどのチャンネルも
必至こいて制作する”バスの旅”を映している。
当夜はサムライジャパンとMLBの親善試合があるハズ。
お運びのオネエさんに
チャンネル切り替えの伺いを立てると却下された。
隣りで金目のかぶと煮を突ついていた、
単身のジイさんが観入っていたようだ。

(家へ帰って観なヨ!)
なあんてことは言えるワケもないし、
普段から敬老精神を忘れないJ.C.である。
ってゆうか~、そろそろ自分自身が
敬われる域に達しちゃってるしぃ。

焼酎を舐めてる相方を尻目に中ジョッキは早や3杯目。
やんなっちゃうくらいにどんどん入っちゃう。
駄目元で頼んだポテトフライがやっぱり駄目。
ごくフツーのフライドポテトにケチャップが添えられている。
望むのは昔、精肉店が揚げていたパン粉付きのヤツ。
熱々ににウスターソースを垂らすと最高なんだ。

チンチン電車を思わせる東急世田谷線に乗り、三軒茶屋へ。
これから魔の三角地帯で深い夜に身を投じる覚悟なり。

「吾作」
 東京都世田谷区松原3-28-11
 03-3324-2220