2019年2月20日水曜日

第2072話 雪がチラチラ 大塚の街 (その2)

JR大塚駅を北口に出た。
相方と落ち合うまでに早いとこ、
ちょい飲みを済ませにゃならない。
ビールという名の聖水で
寒風に耐えているノドをいたわらにゃならない。

実はこのあと訪れる「江戸一」には
唯一無二のウイークポイントがある。
他客なら意にも介さぬ些細なことだが
J.C.にはとても重要なんざんス。

数十年来、その夜の酒は(ときには昼から)
何が何でもビールで始めている。
ところが、わが愛する「江戸一」ときたひにゃ、
小瓶はエビス、大瓶はキリンラガーの取り揃え。
サッポロなら黒ラベルで文句はないし、
キリンだったらせめて一番搾りであれば
どうにか折合いがつくというのに—。

ハイッ! 無いものねだりは打っちゃっといて0次会へ。
北口から徒歩1~2分の立ち飲み「ゆる酒場」に来ると
シャッターが閉ざされて開く気配すらない。
16時開店のハズだが営業時間の変更があった模様だ。

こりゃ、いかん。
時間に追われる身につき、ちょいと焦った。
舞い戻って駅舎を抜け、今度は南口へ。
そうして飛び込んだのは「やきとん あさちゃん 大塚店」。
大塚店を名乗るからにはヨソに姉妹店があろうが
利用したことは一度もない。
とにもかくにも入店を決断した理由は3つ。

① 時間がない
② やきとん大好き
③ 中ジョッキ199円

へへッ、③の理由はわれながらセコいよネ。
加えて”慌てる乞食は貰いが少ない”のことわざ通り、
勝手に早とちりした生ビールはアサヒじゃなくてキリンだった。
まっ、生ならキリンもけっこう。
しかも飲みやすい一番搾りならなおさらだ。

泡が多めのジョッキとともに
運ばれたオッツケのお通しは切干し大根。
これが税込みで208円。
ちなみに中ジョッキも税をプラスすると214円。

うれしくも何ともない切干しだが
こういうタイプの店にありがちなおざなり感は薄い。
マジメに作りました感すら漂う。
にんじんのほかにさつま揚げや油揚げも散見される。
思いのほかこの店、イケちゃうんじゃないだろうか。
希望という名のほのかな灯りが点った瞬間でありました。

=つづく=