2019年2月25日月曜日

第2075話 雪やみて 巣鴨の街 (その1)

「江戸一」をあとにした2人のオッサンに
酔いの回りがドッと押し寄せてきた。
それでも足元に注意を払いながら
くぐったのはすぐそばにある、
もつ焼き「富久晴」の縄のれん。
J.C.的には大塚とくれば、
「江戸一」&「富久晴」はワンセットになっている。

ところが店内は立錐の余地もなく、
哀れ、焼きとん難民が約2名、
雪上がりの街に放り出されたのであった。
いいサ、いいサ、大塚がダメなら巣鴨があるサ。
てなこって、隣り駅の巣鴨に移動の巻である。

南口ロータリー近くのワインバー「プティ・ポワ」へ。
あれっ、内装は変わってないが、どこか雰囲気が違う。
以前はバーカウンターに女性が2人いたのに
現在は男性が1人のみ。
相方・Fチャンの落胆ぶりが手に取るように伝わってくる。

察したJ.C.、おもむろに
「ワイン1杯だけ飲ませてください」
「お通しがつきますけど・・・」
「ああ、いいですヨ」
てなこって、アルゼンチンの赤ワイン、アラモス マルベックを。
あまりつままずにしこたま飲んできたものだから
飲み口をまったく覚えていない。

ついでにOKしたお通しすら何が出たのか、
手をつけたのか、つけなかったのか、
まったくのアウト・オブ・メモリーでありました。
これは相方も同じこと。

下を線路が走る、水のない巣鴨橋を北へ渡り、
JR山手線の外側へ。
お婆ちゃんの原宿として名高い、とげぬき地蔵方面だ。
地蔵通りには「巣鴨ときわ食堂」をはじめ、
飲み処はいくらでもある。

空腹を訴える相方が
「この店どう?」
見れば、2階へ続く階段の入口に看板あり。
「何だヨ、お好み焼きともんじゃじゃないの」
「腹減っちゃって、お好み焼きが食いたいな」
(チッ、オンナ子どもじゃあるまいし)と思ったものの、
飲み始めると、あまり食べものを口にしない身につき、
冷えた生ビールがありゃ、それでじゅうぶんなのサ。

てなこって、落ち着いたのが「鉄板焼 味千」の小上がり。
スーパードライの中ジョッキであらためて乾杯だ。
ここでふと気がついたが、お好み焼きの鉄板をはさんで
男とサシで向かい合うのは人生初なんじゃなかろうか?
何故に二人はここに?
Kとブルンネンの歌声が右脳と左脳のあいだで
こだまし始めたのでありました。

=つづく=