2019年2月28日木曜日

第2078話 北千住に「いもや」があった! (その1)

学生時代に御茶ノ水や神保町界隈を
ウロウロした経験を持つ者ならば、
みな1度や2度は天ぷら「いもや」のお世話になったでしょう。
J.C.とて例外ではありまっしぇん。

白山通りに面して本店を構える「いもや」は
系列店やら暖簾分けやら詳細は存ぜぬが
とんかつ専門も含めて近所に何軒か看板を掲げている。
われわれの世代は「いもや」といえば、
一に天丼、二に天定、
三、四がなくて、五にとんかつではなかろうか。

週末の北千住。
丸井地下の「食遊館」へ食料の買い出しに出掛けた。
その前に遅い昼めしである。
宿場町通りから1本西の道筋に
とんかつの佳店ありと聞きつけて向かうと、
ターゲットの手前に「いもや」の暖簾を発見。
ええ~っ、こんな所に何だってまた「いもや」があるの!
ちっとも知らなかったヨ。
店構えをよくよく見れば、ずいぶんと年季が入っており、
ここ数年の新参店には到底見えない。
とんかつと天ぷら、少々迷った末、意外な遭遇に軍配を挙げた。

店内はL字のカウンターのみで8~10席ほどだろうか。
鍋の前には店主と思しき若者が1人。
接客と調理補助担当のオバちゃんは
おふくろさんかパートの主婦か、ちと判断がつきかねる。

「ごはんが炊き上がるのに15分ほど掛かりますが・・・」
店主に言われて
「ああ、構わんヨ」
相手が若いものだからぞんざいな口利きになってしまった。
いや、失敬!

1時間は困るけど、どうせビールを飲みながら待つ身、
20~30分はへっちゃら、へっちゃら。
スーパードライの大瓶をトクトクしてグイ~ッ。
おや、おや、サービスの突き出しは板わさじゃないか。
神保町の本店ではこんな心配りはなかったヨ。

品書きには天ぷらのほかに
〆さば・いか刺し・たこ刺しがあり、いずれも450円。
値段も値段だし、天ぷら店であることだし、
ちょいとばかり二の足を踏んだものの、
意を決して〆さばをお願い。

若き店主が冷蔵庫から三枚おろしの切り身を取り出した。
まごうことなき自家製である。
粉わさびは承知の上で、期待に胸がふくらんだ。

=つづく=