2019年2月27日水曜日

第2077話 雪やみて 巣鴨の街 (その3)

魔が射して相方の誘いに乗ったお好み焼き。
やはりそれなりの因果があったのだ。
スーパードライの中ジョッキで本日3回目の乾杯。
とにもかくにもミックスお好み焼きを通す。

接客のオネエさんが
鉄板にブチまけた具種(ぐだね)を手際よく整えてゆく。
シングル盤のレコードみたいな円形がキレイに形作られた。
ふ~ん、修練というのは怖ろしいものだネ。
コテで引っくり返すと、薄い焼き目が均等に付いていた。

「絶対にさわらないで下さいネ」―
そう言い残した彼女は
ひとまず別のテーブルのケアに立ち去った。
取り残されたわれわれ二人は目を合わせて苦笑するのみ。
何だかお預けを食らったワン公の気分である。

待つこと2分、手持ち無沙汰につき、
手持ちのコテで焼かれつつある物体を突っつこうとすると、
怖い顔した相方があわてて止めに入った。
多少動かしたからって味が変わるもんでもなかろうが
言われたことを律儀に守り抜く人も世の中には必要だ。
(この御仁はA型だろうな)・・そう確信した。

戻ってきたオネエさんのお許しを得て割り箸を割る。
一切れいただいての印象は可もなく不可もなく。
もともとお好み焼きは好みじゃないんだ。
年に1度も食べないんじゃないかな。
つらつらと思い出すに、去年もおととしも食した記憶がない。
あれは3年前、浅草は観音裏の「立花」が最後だろう。

相方4分の3、当方4分の1の割合で完食。
ジョッキは2杯目に突入している。
「もんじゃいってみたいネ」
「ハッア~?」
「せっかくだからサ」
止めるひまもあらばこそ、
今度は店長らしきオニイさんを呼び止め、
「オススメのもんじゃは何ですか」
こう来たもんだ。

問われた仮に店長、応えて曰く
「明太子チーズですっ!」
「じゃ、それ下さい」
あわててJ.C.、
「明太子が苦手なんで、ほかには?」
「ミックスもんじゃですかネ」

結局、追加したそのミックスもんじゃ、
今度は5分の4対5分の1で食べ終える。
これならハナから相方の求めた明太チーズでよかったかもネ。
こうして巣鴨の夜は更けてゆきました。

=おしまい=

「鉄板焼 味千」
 東京都豊島区巣鴨3-28-8
 03-3915-3333