2021年6月7日月曜日

第2670話 女将の揚げる 串かつ定食

JR山手線内回りを駒込で下車した。

目当ての店があったわけでもなく、

しばらく来ていない町をぶらぶらしながら

惹かれたところでランチのつもりだ。

 

西口を出て本郷通りを北に向かうも収穫ナシ。

霜降橋から駒込銀座に入って駅方面に戻り、

東口のガードをくぐった。

此処はアザレア通り、開いてる店と閉じてる店が

混在するなか、立ち止まったのは「栄屋」。

角地で目立つため、認知していたが利用したことはない。

 

立て看板に

とんかつ  あわもり 八重泉  栄屋

メニューボードには

とんかつ定食 980円  串かつ定食 950円

 

八重泉(やえせん)となると店主は沖縄、

それも石垣島の生まれかな?

手頃な値段だからボリュームもそこそこだろう。

胃もたれの心配は要らないな。

 

関西の串揚げはさほど好まぬJ.C.,

関東の串かつは大好きで

ビヤホールあたりじゃ、よく注文する。

けれども、とんかつ屋や大衆食堂に入って

串かつ定食というのはほとんど記憶にない。

10年余り前の隣り町、巣鴨「とん平」以来かもしれない。

 

カウンターには五十路を超えたと思われる女将さん。

どうしたわけか店主の姿が見当たらない。

女性独りのとんかつ屋は極めて珍しい。

というか、ほかに知らない。

 

あとで判ったことだが彼女は石垣島の出身。

創業の1982年以来、ずっと此の地に暖簾を掲げ続け、

開業当初は知らないけれど、一人での切盛りとのこと。

へえ~っ、こんな女将もいるんだねェ。

やせ型の体躯に整った容貌は細腕繁盛記もいいところだ。

 

豚ロース&玉ねぎの串かつは2本付け。

配膳の際、

「串を抜きますか?」

このひと言に彼女のデリカシーを感じる。

もっと早く来ればよかった。

 

適度な脂身を蓄えた豚肉と甘い玉ねぎのハーモニーが上々。

卓上のとんかつソースは甘口・辛口の2種類だ。

手切りのキャベツ、白菜漬、なめこ&豆腐のみそ椀。

すべて水準をクリアしている。

 

禁酒令が解けたあと、夜に再訪すべき店がまた増えた。

そんときは、とことんいただきまっせ。

オリオンビールと八重泉をしこたまネ。

 

「栄屋」

 東京都豊島区駒込1-23-13

 03-3941-8692