2021年6月16日水曜日

第2677話 奮闘空しく 皿うどん

平日の午後、メトロ丸ノ内線を終点・荻窪で降りた。

此処から一駅歩き、隣りの西荻へ行くつもり。

JR中央線沿線の気に入りタウンで腹ごしらえである。

 

駅北口から歩き始めてすぐ、

外に立ち飲みスペースを備える喫茶店に出会った。

生ビールのテイクアウトが320円とあったが

この場所でも飲めそうな雰囲気だ。

 

ドアノブを引いて声を掛けたら、やはり立ち飲みOK。

グラスの黒ラベルはプラコップ代が引かれ300円。

ちなみに黒ラベルとギネスのH&Hが400円。

サイズは(中)と(小)のあいだくらい。

泡立ちが強く1分ほど待ったが望外のシアワセに文句はない。

 

「イマジン」は1978年の創業。

むろんジョン・レノンのあの曲を意識した店名だ。

「イマジン」のリリースは1971年。

初めて欧州を周遊した年につき、鮮明に覚えている。

もっともイングランドには行かなかったんだけどネ。

 

善福寺川を渡り、上荻から西荻へ。

この時点でターゲットを「出島」の皿うどん、

または「坂本屋」のかつ丼に絞り込んだ。

 

2軒のはざまで迷ううち「出島」の店先に差し掛かった。

こんなシチュエーションだと、身体が先に反応してしまう。

サッと入店し、スッと着座した。

その行動を弁護するかのように、あとから頭が働き出す。

(どうせ向こうはかつ丼求める客で長蛇の列だしな)

 

四人掛け2卓、二人掛け1卓、カウンター3席。

カウンターの一番奥で皿うどん(730円)を注文。

当店はちゃんぽん&皿うどんの専門店だが

町中華メニューもかなり揃っている。

今週の定食(780円)は

A―トリ肉の唐ガラシ炒め B―八宝菜

 

うわっ!スゲェ大盛りが登場したヨ、これじゃ挫折もやむなし。

箸を握る手に力を込めて挑みかかった。

パリパリ麺の食感がよい。

覆い尽くすあんかけの具材は、

豚小間、イカ、2粒だけのアサリ、

紅白2色刷りかまぼこ、キャベツ、にんじん、もやし。

 

道半ばで心が折れかかる。

せめてビールがあればねェ。

ダメ元で訊いてみたら、オバちゃん応えて

「すみませんねェ、国と都から言われちゃってますんでねェ」

 

奮闘空しく4分の1が残った。

「食べ切れなくてごめんなさい」

「いいえ、すみません、ビールがあれば食べられたのにねェ」

「うん、ホントに皿うどんはいいつまみになるもんネ」

「解除になったらまたいらしてください」

 

うなづいてオモテに出た。

町内めぐりの前に「坂本屋」へ直行したら14時過ぎで3人待ち。

皿うどんの決断が間違いではなかったことが証明されました。

 

「イマジン」

 東京都杉並区上荻1-13-3

 03-3393-3236

 

「出島」

 東京都杉並区西荻北2-1-7

 03-3395-3795