2021年6月18日金曜日

第2679話 マレーと中華のコラボ麺

シンガポールに赴任していた頃の友人から

何年かぶりにメールが舞い込んだ。

世の中が落ち着いたら飲む約束を交わす。

そのおかげかシンガポールの料理が恋しくなった。

 

あれは一昨年の文化の日。

「海南鶏飯(ハイナン・チーファン)水道橋店」の入口で

メニューを眺めていたら

若者の集団がどんどこ階段を上っていくじゃないの。

先を越されてこれは相当時間がかかると踏み、あきらめた。

 

よしっ、今日はあすこへ行ってやろう。

人気店につき、相変わらずの繁盛ぶりだが

タイミングよく窓際に通される。

 

今日はハナからラクサと決めていた。

メニューにはシンガポール・ラクサとあるが

現地ではニョンニャ・ラクサが一般的。

ニョンニャとはマレー半島に在住する、

華僑の末裔の女性で、男性はババといわれる。

 

シンガポールのオフィスの同僚にババが一人おり、

スタッフはみな「ババ、ババ」と呼んだが

本人は気にもせず、むしろ歓んでいる様子。

差別どころか愛されていた。

 

マレーと中華がコラボしたラクサは

サンバルブラチャン(海老の辛味噌)と

ココナッツミルクが強く主張するスープヌードル。

小麦麺or米粉から択べ、小麦をお願いした。

ダメ元でタイガーの生を所望したが、やはり却下。

 

シンガポール時代はあまり好まず、滅多に食べなかった。

たまたまこの日通したのにはワケがある。

単身の来店では品目が限られ、

あれも食べたい、これも食べたいと願ったところで不可能。

よっていろいろ見つくろい、テイクアウトの腹積もりだ。

 

濃厚なスープに浮かぶのは

油揚げ、うずら玉、かまぼこ、きゅうり。

そして小ぶりながら尾頭付きの有頭海老。

粉々感あふれる中太麺はほぼ真っ直ぐで

ほどよいコシがあった。

 

彼の国を離れて以来、

口にしていないラクサだから、短くとも35年ぶりの再会。

懐かしく美味しく味わった。

 

そうしておいて持ち帰り品の吟味である。

注文したのは

ロティ・プラタ、海南鶏飯、フライド・ホッケンミーの3品。

会計はトータル2620円。

しばらくの間、シンガポール漬けになること必至なり。

 

「海南鶏飯 水道橋店」

 東京都千代田区三崎町2-1-1

 03-3264-7218