2021年6月23日水曜日

第2682話 あら珍しや 鮎の天丼

この日も朝から晩までずっと雨。

雨の日は都心へ出て地下に潜るが

ザーザー降りではないため、多少は地上に出よう。

 

歌舞伎座から銀座の幹線道路、

晴海通りを余り離れず、4、5丁目を日比谷方面に進む。

みゆき通りの先にJR&首都高のガードが見えてきた。

その手前、泰明小学校前の路地を入れば、

「泰明庵」の袖看板が迎えてくれるハズである。

 

銀座は意外にそば屋が少ないが

「泰明庵」は7丁目の「よし田」と肩を並べる老舗だ。

13時半になるのにほとんど満席。

四人掛けを一人で占有するからさもありなん。

卓上に品書きはなくビッシリ貼られた短冊を見上げる。

 

♪ 見上げてごらん 壁の札を ♪

 

九チャンの歌声を遠くに聴きながら

吟味する、このひとときは心が弾む。

 

相変わらずユニークな品々が並んでいる。

黄にらカレー、わらびカレーはライスでなく南蛮そば。

せりそばを注文すれば、

鶏肉か豚肉を入れるかどうか訊いてくる。

 

初訪問は22年前、世紀末だった。

2階での晩酌がすっかり気に入ってしまい、足繁く通った。

そば屋ではなく、そば居酒屋として利用した。

当日はまだ禁酒令解除前、おとなしく食事するしかない。

となるとイチ推しはミニ天丼セット(1000円)である。

 

ミニ天丼―鮎・めごち・きす・穴子・かき揚げ

そば―もり・かけ・ざる・たぬき

 

それぞれ1品づつ択ぶが

鮎天丼ってのは珍しいねェ、ここで初めて見た。

というより、ヨソでも見たことがない。

好みは穴子orめごちなれど、鮎っきゃないでしょ。

 

琵琶湖の小鮎が3尾ほど乗ってるのかな?

想像していたら3枚おろしが2枚来た。

大人に成り切らない若鮎の脇をしし唐&かぼちゃが補う。

 

うむ、ウム、やっぱり美味いや。

「泰明庵」はそば屋なのにそば自体はフツー。

だけど天丼は好きだ。

ごま油香る天ぷらに年期の入った丼つゆが絡む。

固めに炊かれたごはんもまたけっこう。

 

ようやく解禁の日の目を見たことだし、

次回は2階へ上がり、酒盃をゆるり傾けるといたそう。

 

「泰明庵」

 東京都中央区銀座6-3-14

 03-3571-084