2021年7月2日金曜日

第2689話 遠来の 友は何より 鰻好き (その2)

「つきじ宮川本廛」で遠来の友と

ビールを飲みながらうな丼を待っている。

テーブルに着いて40分経過。

ようやく整ったときにはビールが4本空いていた。

 

しかもイでじゅうぶんなわれわれが

分不相応なロに挑むのだから

くれぐれも途中の落馬に気をつけねばならない。

 

フタを開けると、どんぶりの手前にカミ(上半身)、

向こうにシモ(下半身)が横たわっている。

鮨屋のまぐろを

赤身→中とろ→大とろの順で食べ進むように

うなぎも脂の少ないシモから箸をつけるのが鉄則。

どんぶりを180度回転させ、シモを手前に引き寄せた。

 

うん、さすがですな。

蒲焼きもごはんも粉山椒までもすべてが大谷クラス。

128年の伝統はダテではない。

かようなうな丼を食べ残してはならじと

今度は胃ブクロが頑張った。

 

かつおだし出すぎの肝吸いはやや疑問。

どんぶりに付く新香は白菜漬と奈良漬でこれまた凡庸。

まっ、すべてをうな丼が打ち消してくれましたがネ。

周りを見渡すと、うな丼・うな重の比率は4:6だった。

 

一日中雨の予想がよい方向に外れてくれ、

築地・東銀座・西銀座をそぞろ歩く。

案内したのはサッポロビール直轄の

銀座ライオングループ旗艦店、

「ビヤホール ライオン 7丁目店」。

 

以前、二人で何度か利用したが

相方は10年以上来てないから懐かしさひとしお。

かなりの繁盛ぶりだったが待たされることもなく、

中ジョッキをガチンと合わせた。

 

お互い満腹なのに、そこは呑ン兵衛の特性。

琥珀色の液体は別腹に淀みなく流れてゆく。

牛には四つあるけれど、

人間のストマックも2部屋構造なんだネ。

 

2杯目はともにハーフ&ハーフ。

当店は片割れがスタウトにつき、かなり重たい。

普段、御徒町「味の笛」で

ドライだけのH&Hを飲んでるから余計に重い。

 

GINZA SIX に立ち寄る相方と別れ、三越に潜った。

そこで見つけたのが京都は丹後の産、

赤アマダイ頭部の肩身(2170円)である。

目元さやけき横顔に、心奪われて迷わず購入した。

 

昼にうなぎを食っといて

夜またアマダイじゃバチが当たる。

軽くひと塩し、清酒を振りかけ、風干しにしてみた。

どうせ今宵は飲むだけでいい。

明日の晩酌が今から楽しみだ。

 

それにしてもこの日は散在しちまいやした。

しばらくはつましい暮らしを心がけまする。

 

「つきじ宮川本廛」

 東京都中央区築地1-4-6

 03-3541-1292

 

「ビヤホール ライオン 7丁目店」

 東京都中央区銀座7-9-20

 03-3571-2590