2021年7月29日木曜日

第2708話 ハッキリ言って ボロ似ェーゼ

行く先も決めず地下鉄に乗った。

大手町で降りて東西線に乗り換える。

どっちの方向でも先に来た電車に乗るつもり。

こういう芸当は島式ホームならではで相対式はムリ。

 

入線してきた中野行きに乗車。

狙いは神楽坂か高田馬場だが

馬場は歩いていて面白くない、よって神楽坂。

坂道をぶらぶらと降りてゆく。

 

立ち止まったのは「PAUL」の店先。

1889年にフランス北部、ベルギー国境に近い

リールで創業したブーランジェリーは

日本でも北は札幌から南は博多まで展開している。

ちなみにフランスの第18代大統領、

シャルル・ド・ゴールはリールの出身だ。

 

目をとらえたのはランチメニューにあった、

フェットゥチーネ・ボロネーズ。

挽き肉をそれほど好まぬJ.C.だが

ボロネーゼ&ミートソースは好きだ。

 

普段入らぬタイプの店舗ながら食べたくなった。

すっきりとしたレイアウトにくつろぐ客の大半は

やはり女性、そう、街に花咲く乙女たち。

しかしながら、カトレアのように派手なひとも

鈴蘭のように愛らしいひともいない。

ましてや、忘れな草の花に似て

気弱でさみしい眼をした子など、いるはずもない。

 

アールグレイのアイスティーとのセットを通した。

パンが4種もきたので有料のバターをお願い。

メインのフェットゥチーネはやたらにソースがゆるい。

挽き肉が散見されるものの、

ナス&トマトが主役を張っている。

挽き肉は片隅に追いやられ、気弱でさみしい眼をしていた。

 

女性はこういうのを好むんだろうネ。

オッサンには合わないなァ。

本場ボローニャで食べたボロニェーゼとは

似ても似つかない料理が皿上に君臨していた。

ハッキリ言ってボロ似ェーゼだヨ、コレは―。

 

ブーランジェリーだからさすがにパンは上々。

クルミ、イチヂク&クルミ、2色(緑&黒)のオリーヴは

何とか食べたが4種めのカンパーニュで手が止まる。

ガムシロだけのアールグレイを

ストローを使わずに飲み干し、会計は1430円。

ビールを飲まないと実に安上がりだ。

 

神楽坂下まで来ると汗ばんできた。

汗かきついでだ、ずんずん歩いて行こう。

心に決めたものの、早くも後楽園にて心変わり。

「成城石井」で晩酌用の小ジャレたマミツを調達し、

ラクーアから乗り込んだのは

文京区のコミュニティバス、B―ぐるでした。

 

PAUL 神楽坂店」

 東京都新宿区神楽坂5-1-4

 03-6280-7723