2021年7月8日木曜日

第2693話 もつ煮じゃなくてモッツーニ

東京メトロを千代田線・丸ノ内線・副都心線と

乗り継いでやって来た小竹向原。

のみともが棲む町につき、

何度か赴いているが酒盃を傾けるのはいつも駅北側。

小茂根や向原など板橋区だ。

このたび初めて南側の練馬区・小竹町を歩いた。

 

店らしい店というものがまったくない。

緑あふれる閑静な住宅街といったたたずまい。

酒飲みには場違いなエリアながら狙いを定めてあった。

 

「まちのパーラー」は町の人気店。

自家焼きのパンを用いた軽食、いや、重食とて可能な店だ。

半地下の店内は近所のママともと思しき女性客ばかり。

5人体制のスタッフもみな女性。

此処は女湯かい? 粗相のないように一応前を隠しておこう。

ただの1席しかないカウンターに促された。

 

おびただしい種類のパンに加えてキッシュが数種。

ローストポーク、ペコリーノ&トマトのサンドイッチ。

そして10時以降に注文可能なランチセット(1470円)が

トリッパとサルシッチャの二通り。

ほとんど迷わず、トリッパのトマト煮込みを選択した。

飲みものは柄にもなくカプチーノを食後に―。

 

トリッパは牛の第二胃のこと。

言わば、イタリア風もつ煮込みだが

これはもつ煮ではなく、モッツーニと呼ぶが正しい。

ホントかね?

 

サラダ(グリーンカール&水菜)とパンがサーヴされる。

出来合いではない、自家製のドレッシングに好感。

パンはフォカッチャ、チーズ・ルスティック、

フルッタ(レーズン&ピスタチオ)の3種が2切れづつ。

いやはや、こんなに食えないや。

有料のバター(66円)を所望すると、

これが評判高きカルピスバター、すっかりうれしくなる。

 

壁に立てかけられたワイン・ボードに

珍しいチェコのワインを見つける。

白がソーヴィニョン・ブラン&リースリング、

赤はピノ・ノワールでともに1グラス935円。

ネスタレックなる造り手は聞いたこともないが

ものは試しと赤をお願いしてみた。

 

プラハを訪れたときはビールばかりあおっていて

ワインを飲んだことはない。

いや、チェコでワインなんぞ見かけなかったヨ。

さて、どんなものですかな?

う~ん、ピノ特有のかぐわしさにもの足りなさが残る。

 

トマト煮込みはトリッパとにんじんがたっぷり。

ファジョリーニ(白いんげん豆)も散見され、

実によく仕上がっている。

イタリアンパセリかオレガノでも散らせば完璧で

リストランテ顔負けの出来映えだ。

 

残ったパンを包もうとするスタッフの好意を

丁重に辞退して歩く小竹の町。

このあとの行く先は決めていない。

とりあえず、同じ練馬区・江古田駅方面へと

ぶらぶら歩く梅雨の晴れ間の午後でした。

 

「まちのパーラー」

 東京都練馬区小竹町2-40-4

 03-6312-1333