2021年7月6日火曜日

第2691話 団子の坂で韓式定食 (その1)

その日は朝食を軽く済ませ、借りてきたDVD

ヘプバーン主演「パリの恋人」を初めて観た。

いや、ブッタマげたネ、彼女のダンスの上手さに―。

 

相方のF・アステアは図抜けたダンサーだが

オードリーもどうして、どうして、

ここまで身体が柔らかいとは知らなんだ。

女優にならずともダンサーで

じゅうぶんやっていけたと思うが

女優になってくれてありがとう。

 

観終えたら13時近く、はて、何処で何を食べよかな?

窓を開ければ港が見える、じゃなかった、どんより雲。

近所で済ませるに越したことはない。

傘も持たずに原宿、じゃなかった、団子坂へ。

 

千駄木の交差点にミスタードーナツがある。

ドーナツを食う習慣はないが

それでも二度ほどおジャマして

陳健一監修の中華メニューを食べた。

 

団子坂にはすでに団子屋がない。

代わりに今川焼き屋とドーナツ屋がある。

建物の1、2階をミスドが占め、

3階にはコリアン・レストラン「呉宮(オグン)」。

 

存在は知っていたものの、一度も利用していない。

オードリーのしなやかな肢体が目に灼きつき、

気分が高揚していたらしい。

パタパタと3階に羽ばたいてしまった。

 

ガラガラかと思いきや意想外に満卓。

ほとんどが女性の二人連れだ。

多少待たされても仕方ないな・・・すると

「こちらにどうぞ」―オバちゃんに案内されたのは

板の間に畳表(むしろ)を被せた個室である。

掘りごたつのテーブルは八人掛けだ。

 

何だか座敷牢に幽閉されたみたいで

こういうのも落ち着かないなと

思いつつもスーパードライをトクトクトク。

中瓶で800円は強気の価格設定だが

高級店の証しともいえ、料理に期待度が高まった。

 

ランチメニューに目を通せば、当店が焼肉というより

韓国料理全般に軸足を置いているのが判る。

プルコギ、チーズダッカルビ、参鶏湯、スンドゥプチゲ、

アワビ粥(チョンボクチュク)、水冷麺などなど。

焼肉はカルビ・ロース・ハラミのラインナップだ。

 

熟考の末、ハラミ焼肉定食(1400円)を通すと

あまり待つこともなく、ん?

ビールのつまみ? ごはんのおかず? 

とにかく前菜らしきものが運ばれた。

 

=つづく=