2022年4月25日月曜日

第3000話 ガリ酎 思い出し出し (その1)

高砂から何処に行こうかー。
第一感は寅さんの柴又だが
2019年の暮れに二度訪れた。
2年余りの月日が流れているので
行ってみようか・・・なんて思いつつ、
京成成田行きの快速電車に乗っていた。

降りたのは京成八幡。
向かったのは大衆酒場「馬越」。
暖簾をくぐると時間が早いから
人気店でも客はまばらだ。

あれは4年前。
カウンターはほぼ満員ながら
空いていた1席に滑り込むと
右隣りに女性が独り飲んでいた。
あのときのブログを再現してみたい。

彼女が世にもキテレツなドリンクを注文。
うわっ、何だよコレ!
酎ハイの
ジョッキの中に漬けしょうみたいなのが
これでもかとばかりに投入されている。
鮨屋でおなじみの漬けしょうが、
いわゆるガリだが、J.C.はガリなる呼び方を嫌う。

考える間もあらばこそ、つい口が先に出てしまった。
「いったい何ですか、ソレ?」
隣りに座ったオッサンにいきなり肥を掛けられ、
もとい、声を掛けられ、振り向いた女性。
驚かせちまったかなとも思ったが
意外な言葉が返ってきた。

「飲んでみます?」
「えっ! いいんですか?」
「どうぞ」
「んじゃ、一口だけ」

ん? やっぱり漬けしょうがだヨ。
だけど、けっして旨いもんんじゃないネ。
訊けばガリ酎というんだそうだ。
しっかし、見ず知らずのオッサンに
よく味見させてくれたもんだな。

コロ助が襲来してたらこうはいくまいが
これをきっかけに会話が始まった。
訊けば長野県出身の上田市生まれ。
同郷のよしみもあって意気投合し、
2軒目へと流れたのだった。

現在の「馬越」にガリ酎は健在。
今でこそあちこちで見かけるが
この奇妙なドリンクに
初めて逢ったのは此処である。

=つづく=