2022年5月10日火曜日

第3011話 町屋の町で春を味わう (その2)

「ときわ」のグラタンコロッケはよかった。
歯にカリッと当たって舌にトロ~リ。
上野アメ横の大衆酒場、
「かのや」のカニクリコロと甲乙つけ難い。

こういうのって
下手な洋食屋の気取ったヤツより
真ん中に命中することが多々あるんだ。

オッサンばかりが続々と現れる。
みな近所の常連サン。
飲まずに食事だけという客はゼロだった。
3150円を支払い、2軒目へ。

お次は荒川線沿いの「亀田」。
料理は要らないが飲み足りない。
こんなとき焼きとんは本当に助かる。
2本も頼めば、どうにカッコがついて
その場をしのげるのだ。

デンキブランと串はカシラ塩にレバたれをー。
何度も利用した店につき、信頼感指数は高い。
デンキ&もつの相性はバッチリ。
ともに浅草が発祥の地だからネ。

浅草の周辺に履物や皮革を扱う店が多いため、
肉やもつが大量に残った。
フトコロに余裕のある向きは桜鍋やすき焼き。
そうでない人は焼きとんやもつ煮で精をつけ、
それぞれ吉原に繰り出し、
その精をはき出したワケだ。

2杯目を択ぶため、リストを見ていたら
酎ハイ(黄色)と白ハイ(無色炭酸割)があった。
即座に思い出したのは
市川市・本八幡の「馬越」のキイロ。

お運びのオネエさんに訊ねる。
「黄色って天羽の梅入りかな?」
「そうです、そうです」
「じゃ、お願いっ!」

「馬越」にはアカとキイロ。
「亀田」には黄色と白。
2軒合わせりゃ、赤・白・黄色。

  さいた さいた
  チューリップのはなが
  ならんだ ならんだ
  あか しろ きいろ
  どのはな みても
  きれいだな    ♪
 (作詞:近藤宮子・井上武士)

オヤジ酒場で憩うオヤジの耳に
子どもたちの黄色い歌声が聴こえたのでした。

「亀田もつやき店」
 東京都荒川区町屋2-15-19
 03-3892-0383