2022年5月11日水曜日

第3012話 有りそで無かったボンボーヌ

町洋食店が珍しい料理を出すと聞きつけ、
JR中央線・東中野へ。
「レストラン イト」に着いたのは1340分。
そろそろラストオーダーの時間だ。

先客は男女合わせて4人。
みな単身で注文もみな名代のボンボーヌ。
これは一種の変形ハンバーグだ。

コンパクトな店内は
角を丸く削ったL字カウンターが9席ほど。
中が丸見えだから製造過程をとくと拝見した。
オジさん二人のオペである。

名物をライス半分でお願い。
ドライの中ジョッキはよく冷えている。
注ぎ方も申し分ない。
これだけで優良店であることが伝わる。

最初にサーヴされたサラダは
レタス・キャベツ・きゅうり・赤ピーマン。
おざなり感などまったくなく、
ドレッシングはクリーミー・フレンチ。

見ていると陶器の皿にまず平たいパティを敷く。
形状はパンケーキ? いやホットケーキ?
いやいやお好み焼きが一番合ってるかも?
とにかくあまり見ないカタチだ。

その上にベシャメルだかデミグラスを掛け、
スライスチーズを手でちぎって乗せ、
サイドにはカットトマトを2片。
これをオーヴンに放り込む。

ボンボーヌはグツグツで運ばれ来た。
パティから滲み出たと思しき脂がヒタヒタ。
これが熱いのなんのっ、猫舌クンには難儀だ。

ふうふう冷ましつつ、生ビの助けを借りながら
食べ始めるがペースは遅々として進まない。
それでもだんだん味が判ってきた。
予想よりも見た目よりも美味しい。
煮込みハンバーグとは違うし、
有りそで無かった一品だネ。

先客はみな退店してゆき、後客はナシ。  
一人取り残された。
ジョッキのお替わりが欲しいが
長っ尻は迷惑だろう。
会計は1560円也。

ババかジュクまで歩こうかー。
店を出ると同じ並びに
近頃とみに御用達の「vivo daily stand」がー。
だけども開店まで2時間半もあるヨ。

ここでJ.C.、ハタと気づいて思わず膝ポン。
腕を振って歩みを進める。
頭ん中でチータが
「三百六十五歩のマーチ」を歌い始めた。

♪  しあわせは 歩いてこない
  だから歩いて ゆくんだね ♪

「レストラン イト」
 東京都中野区1-57-2
 03-3371-5746