2022年5月20日金曜日

第3019話 大統領を見下しながら

連休明けからしばらくして
友人との飲み約束をするようになった。
この日は高校のクラスメート・西田クン。
前回は師走のアタマにフライング気味の忘年会。
「吉池食堂」で延々7時間も飲み続けちまった。

此度はその学習効果もあって
早め仕掛け、早めお開きの合意を交わす。
われわれの所業を
ロシアのプチ公にも見倣ってほしいネ。
あんなのが大統領じゃ国民は不幸だ。
人の命を消耗品だと思っていやがる。

14時に落ち合ったのは上野アメ横の「かのや」。
界隈のイチ推し店につき、
3カ月に1度は2階に上がり、酒盃を傾けている。
ゴチャつく1階に比べ、ずっと落ち着くんだ。

ドライの大瓶を注ぎ合ってカチン。
インドマグロ3種盛り(赤身・中トロ・大トロ)、
海老マカロニグラタンは
来れば頼むの気に入りメニュー、さっそく通す。

当方はしばらくビールのまんま。
相方は八海山の常温にスイッチし、
焼きとん盛合わせと一緒に
グイグイやっている。

山芋わさび浅漬け、きゅうり一本漬けを
追加したところでこちらも日本酒。
お互い松竹梅に切り替えたが
相棒は依然としてし常温、こちらはは冷酒だ、

話題は今世紀に突入してからの政権史。
酒の席で政治や宗教を論ずるのはご法度ながら
昨日・今日の仲ではないし、
ましてや酒場で隣り合わせた酔客同士でもない。
卓上に平和の花が咲いている。
やれ小泉はああだったの、安部はこうだったの、
論評はほとんど一致を見た。

何かのはずみで突然、
話題が三島由紀夫に振れる。
文学論なんかではなく、
部隊の、もとい、舞台の中心は市ヶ谷だ。

もしも今、彼が存命なら97歳。
あの晩秋、巷には三日前のハンバーグ、
菅原洋一の「今日でお別れ」が流れていた。

エッ? 標題の”大統領を見下す”って何だい?
おっとそうでした。
実は「かのや」の真向かいは
アメ横一の繁盛店「大統領」。
2階の窓ガラス越しに見下しながら
飲んでいたのでした。

「かのや上野本店」
 東京都台東区上野6-9-14
 03-5812-7710