2022年5月18日水曜日

第3017話 海の珍味 あれこれ (その2)

海の野郎どもを引き連れて帰宅。
大きなボウルに水を張り、
粗塩を溶かし込んで全員を解き放つ。
そうしておいて缶ビールを飲みながら
「吉池」のレシートをチェックした。

トリ貝は5個706円だから1個当たり141円。
イソギンチャクが100g(12個)で407円は1個34円。
ワラスボは3尾962円で1尾当たり321円だった。

貝を刺身におろす。
二枚貝の中で貝殻が最も薄く弱いのがトリ貝。
開くときにペリッと割れやすい。
おろし立ての生わさびで
身もヒモもワタもすべていただく。
より美味しくするため、甘酢にくぐらせてネ。

ちょいとクセのあるイソギンは
味噌煮か味噌汁が好いってんで中を取り、
薄めの味噌煮というか
濃い目の味噌汁にしてみた。
半分残し、そちらははゆがいて
自家製ニンニク味噌とともに。

問題はワラスボである。
けっこうなサイズが元気いっぱい。
3尾は多かった、2尾でじゅうぶんだった。

トリ貝にトリかかっていると
背後でゴトンと何か落ちた音。
振り返ったら2尾がボールから抜け出し、
フロアでにょろにょろのたくってやんの。
これがウナギみたいにヌルヌルで
なかなか捕まえにくいんだ。

煮付けにしたがその際も
暴れまくって難儀なことだった。
醤油・日本酒・砂糖で煮汁を作り、
その鍋にまず1尾放り込んだ瞬間、
ジャンプアップして逃げ出しやんの。

いや、活き物を買ってくるもんじゃないネ。
罪の意識を引きずることにもなるしネ。
食材を無駄にしないというより、
成仏させるために残すわけにはいかない。
可食部分は少ないが
臭みもなく、とりわけ肝は美味。
終いにゃ飽きてきたものの、
3夜にわたっていただきやした。

書き忘れたがイシワケイソギンチャクとは
石に取りついた若ェ磯巾着という意味。
有明ではワケノシンノスと呼ばれる。
何と、シンノスは尻の穴と来たもんだ。

よくもこんな名前を付けるよな。
ほかにいくらでもあるだろうにー。
せめてワケノキクザ(菊座)とか。
彼らは思っているに違いない。
人間の阿呆ども、ヒデェ名前付けやがって。
テメェらこそ、阿ス・呆ルじゃねェか!

「吉池」
 東京都台東区上野3-27-12
 03-3831-0141