2022年12月27日火曜日

第3175話 うなぎにフラれ お好み焼き (その1)

朝食のミントティーを飲みながら
前日デパ地下で見た、うなぎ肝焼きを思い浮かべた。
蒲焼きはさほど食べたくないけど、
肝焼きでビールを飲みたし。

墨田区・石原の「川勇」に向かった。
近い駅がなく、蔵前・両国・本時吾妻橋・錦糸町。
どの駅からも速足で10分以上かかる。
両国から歩いた。

13時10分到着。
エッ? 何だヨ、”準備中”の札は?
ままヨと入店すると店主かな?
わりと若めの男性が出て来て
「すみません、お昼終わりました」
「エエッ! 昼は何時まで?」
「1時半ですが、うなぎが売り切れちゃって」

それはないぜセニョール。
数分前に通りすがった店に戻る。
甘味処なんだが、お好み焼き、焼きそばもある。
いや、それはどうでもいいんだ。
さっき店先の貼り紙を見たからネ。
”ビール ハイボール レモンサワーあります”

引き戸を引くと先客ゼロ。
女将さんと思しき女性が一人。
4卓しかないのに2卓はダンボールやら
紙袋やらで埋まり、ちょいと乱雑な感じがした。
とにかく着卓し、頼んだビールはドライの缶だ。
すかさずもう1缶お願いした。

サービスのおつまみは
ピーナッツを糖衣でくるんだような甘いヤツ。
ハハハ、さすが甘味処だねェ、
ビールにお菓子なんて初めて。
うれしくないけど、ポリポリやったら
それなりにビールのアテになってくれた。
合格点。

壁の品書きに見入る。
お好み焼き、焼きそば、おにぎりに甘味の付く、
セットが主流で、そのネーミングがスゴい。
桐壺、葵、若紫など、
みな「源氏物語」全五十四帖の巻名なのだ。

松風に白羽の矢を立てる。
帰宅後調べたら、これは第十八帖であった。
内容は、お好み焼き・焼きそば・サラダ・みつ豆。
うなぎ屋が早仕舞いしたせいで
まったく自分らしくないものを
食べる羽目に陥っちゃったじゃないかー。
イヤなら食わなきゃいいだろ! ってか?
へい、ごもっとも。

=つづく=