2022年12月28日水曜日

第7176話 うなぎにフラれ お好み焼き (その2)

墨田区・石原の「尾張屋」は蔵前橋通り沿い。
浅草の有名な日本そば屋と同じ屋号だ。
軽食&甘味のセット、その名も「松風」。
大仰なネーミングである。

軒続きの隣りでは和菓子や弁当を販売している。
この日はイヴ・イヴ。
季節柄、クリスマスケーキも。

驚いたのは箸袋。
昭和八年創業 伝統の味 
とあった。
数日前の町中華「三河屋」は昭和三年。
静岡VS愛知は5点差で静岡の勝ち、ってか。

目を引くのがかなりのサイズのお好み焼き。
これは食べ切れそうにない
半月二つに分断されて具材は豚肉・キャベツ・玉子。
ソース焼きそばにも豚肉&キャベツ。
脇に真っ赤な紅しょうが。

サラダはきゅうり・レタス・キャベツに
なぜかカニカマ1片。
これが半解凍状態でシャリシャリしやんの。
鮭のルイベみたいなもんだネ。

やはり食べ切れず、半月が一つ残った。
おもむろにみつ豆を手に取った。
寒天に赤えんどう、缶詰のみかん&パイン、
白玉1粒に、黒みつが添えられる。
みつ豆なんて何年ぶりだろう?

奥から店主が出て来て
ダンボールの中身を取り出した。
のし餅である。
これをきっかけに言葉を交わす。

「サトウの切り餅なんかある時代に
 のし餅はよく売れるんですか?」
「いやあ、少なくなりましたねェ。
 昔は1世帯で10枚なんてこともあったけど
 今は1枚か半枚、あとは大会社の鏡餅かな」
「和菓子と洋菓子じゃ大変でしょう?」
「いえ、ケーキはクリスマスんときだけ。
 倅が『不二家』に居たんでネ」

訊けばさっきの女将さんと息子夫婦の家族経営。
どおりで昔の下町の匂いがするわけだ。
女将さんも加わってしばし談笑。
残ったお好み焼きを包むと言うんで
丁重に辞退した。
すると、みかんを二つくれたヨ。

下町の人情に触れることができたのもみな
うなぎ屋サン(サン付けになった)のおかげ。
早仕舞いがなかったら永久に「尾張屋」の敷居を
またぐことはありませんでした。

「尾張屋」
 東京都墨田区石原3-20-8
 03-3622-9437