2023年11月2日木曜日

第3397話 渡り返した隅田川 

♪      エンコ生まれの 浅草育ち
   やくざ風情と 言われていても
   ドスが怖くて 渡世はできぬ
   ショバが命の 男伊達
   背中で吠えてる 唐獅子牡丹 ♪
   (作詞:水城一狼 矢野亮)

さっき渡った隅田の水を渡り返す。
さっき口ずさんだ3番に替えて
レコードに収録されていない4番だ。

するとツレのS織が
「なあ~にその歌?」
「『昭和残侠伝』の主題歌サ」
「『人生劇場』かと思った」
「似てるっちゃ似てるが
 よく知ってるな、そんな古い歌を」
「昔のカレが早稲田だったから」

雷門を通り過ぎ、雷門通りから左へ曲がって
1軒のそば屋に入った。
実はこの日の昼も浅草散歩。
その際「末広」に変わりそばの
あおさ切りを見とめており、
そいつが狙いだ。

そばをたぐる前に本日二度目のグラス合わせた。
今度は中瓶である。
浅草はマイ銘柄の地盤につき、
どこへ入っても安心。
ときどき例外の洗礼を受けるけどネ。

かつ煮ハーフがあって即注に及ぶ。
実にありがたい。
他店にもぜひ見倣ってほしい。
自家製とんかつにかえしが利いて上出来。
”来たら通す”の定番つまみになること必至なり。。

そうしておいて、あおさ切りと
そば屋では捨てがたいラーメンを所望した。
あおさの緑が色濃い。
風味もじゅうぶんで相方の瞳が輝きを増している。

ラーメンの味は典型的なそば屋タイプ。
おだやかな醤油スープに
麺だけはちょいと変わって色白のストレート。
表面を彩るのは
もも肉チャーシュー、シナチク、ナルト、
そしてうれしいことにほうれん草と来たもんだ。
これもまた他店に見倣ってほしいな。
真っ当な店はわかめなんて使わんものだヨ。

師走になったら忘年会をと約束し、
以前、仁丹塔のあった角で別れた。

「末広」
 東京都台東区雷門1-1-10
 03-3844-2216