2023年11月24日金曜日

第3413話 サカナは北から南から

文京区・根津の交差点近くに
土佐の高知のうまいもんを食わせる店があり、
先日、藁焼きかつおのタタキ定食が
当たりだったので再訪。

けれども店は閉じていた。
どうやら閉業した気配。
不忍通りを千駄木方面に戻る。
目指したのは数年前に一度訪れた、
和食店「蕾(つぼみ)」だ。

実は前日、店頭の品書きに
煮魚ーアオヒラスを見とめ、気になっていた。
おそらく今日は無いだろうなと思いつつ、
引き戸を引いて入店。

やはり昨日で売り切って無いとのこと。
真っ黒な身体がなぜアオヒラスなのか見当もつかぬが
アルゼンチンやニュージーランドなど、
主に南半球で漁獲されるこのサカナは上品な白身、
食味がすこぶるよろしい。

本日の煮魚はカレイ。
「どんなカレイでしょう?」
「カラスガレイです」
こちらは逆に北の海で獲れ、
アイスランドから大量に輸入されている。
これまた煮魚向きの良品、即注した。
サカナたちは北から南から日本を目指す。

ビールも好みのドライ、歓んで通したら
泡いっぱいの生が来た。
これは確認しなかったJ.C.が悪いや。
飲み始めたらすぐに3点セットが供される。
茄子の揚げびたし、
サラダ(トマト&サニーレタス)、
新香(べったら&きゅうり醤油漬け)は
いずれも手抜きなく、ビールの良き友となる。

カラスが煮上がった。
火の通し加減、煮汁の味付け、ともに申し分ない。
唯一手こずったのは口中に紛れ込む小骨である。
この除去に気骨が折れた。
油揚げとわかめの味噌椀、
白飯も水準に達しており、
お勘定は生中と合わせて2千円ちょうど。

昼の献立はほかに、刺身盛合わせ、
サバの文化干し、カキフライ、海老とキスの天丼。
瓶のビールがあったなら
月に一度の利用は確実なのになァ・・・
そう思ったことでした。

「蕾(つぼみ)」
 東京都文京区根津2-36-2
 03-5832-9968