2023年11月10日金曜日

第3403話 そうは問屋が卸さない (その1)

この日は自宅でのブランチが遅かったため、
腹が減らずに昼めしはパス。
盤めしまでおとなしく過ごせばよいものを
そうは問屋が卸さない。

ここで思い起こしたのははるか昔の笑い話。
頃は1984年。
ところはロサンゼルス。
ロス五輪が開催され、大会のマラソン日本代表は
瀬古利彦&宗兄弟。

3人の人気は大したもので
それぞれのマスコット人形が売り出された。
人気度は瀬古が一番だったが
なぜか瀬古人形は店頭に売るほど並んでいるのに
宗人形はまったく手に入らない。

いったいどういうことかと組織委が
調べてみると、その理由が判明した。
宗は問屋が卸さない、んだとサ。
おあとhがよろしいようで。

てなこって出没したのは
東京の北東の玄関口、足立区・北千住。
この街のマイ・ブレイクルーム、
「幸楽」のカウンターに落ち着いたが
本日はここだけでは終らせないゾ、
そんな意気込みだった。

ドライの大瓶を通すのは毎度のこと。
ラガーと一番搾り、生も一番搾りと
横浜・川崎の店々のように
キリンが大手を振って歩いちゃいるが
スーパードライも黒ラベルも控えており、
この姿勢こそが真っ当な酒場・居酒屋の
あるべき姿と言えよう。

当店の最大の魅力は白身の刺身。
品書きに真鯛や平目が載ることはまずないが
希少なサカナが必ず入荷している。

この日は鯛類で最も高価なものの一つ、
メイチダイが居てくれて即注に及んだ。
御徒町駅前のサカナのデパート、
「吉池」でもめったに並ばぬ代物である。

実にさまざまな白身に出逢ってきた。
鯛類だけでもヘダイ、オナガダイ、
キントキダイ、ヒゲソリダイと
珍魚のオンパレード。

加えてハタ類のマハタ・キジハタ・
オーモンハタに美味の極みスジアラ。
鮨屋の守備範囲を大きく超えている。
仕入れ担当者と言葉を交わしたいくらいだ。

=つづく=