2024年7月3日水曜日

第3571話 気持ちを込めた実山椒

先日、京都の錦小路で買った大量の実山椒。
2週間ほど野菜庫に眠らせてしまった。
そろそろやんなきゃな。
とある昼下がり、覚悟を決めて
居間のテーブルにおっ広げた。
絡みつく枝や柄を取り除くためだ。

大仕事につき、卓に置時計を配置した。
スタートは14時15分。
気持ちを込めて一所懸命やっただヨ。
TVなんか観ながらだと、
仕事がはかどらないのでCDを聴きながらネ。

初めに加藤登紀子、それから竹内まりや、
そして西島三重子のお三方に協力してもらった。
ものはついで、彼女たちのマイベスト3の紹介。

「歌いつづけて」「愛のくらし」「灰色の季節」
「シングル・アゲイン」「駅」「最後のタンゴ」
「池上線」「千登勢橋」「目白通り」

以上でありまする。

それはそれとして気持ちを込めた作業が
終了したのは16時35分と来たもんだ。
実に2時間20分が経過していた。
ボールの冷水にさらした粒々をざるに上げ、
しばらく放ったらかし。
乾いた頃合いを見計らい、再び厨房に立つ。

実山椒を長く保存する手立ては二つ。
塩で煮るか、醤油で煮るか、
ほかにもあろうが、それしか知らない。
塩は塩だけで、醤油には砂糖も加える。

上手に煮上がった。
塩煮は白瓜と相性が好い。
醤油の方は何と言っても煮魚である。
秋刀魚なんかピッタリで
それ以上に合うのはうなぎ蒲焼きだ。

その翌日、醤油煮を活用し、
ちりめん山椒を作ってみた。
塩煮は釜揚げしらすと合わせて
ちりめん山椒のホワイト版だが
日本酒とは相思相愛の間柄になる。

自宅でうなぎは滅多に食べないから
どうしても外になる。
その際、気持ちを込めた実山椒を
ピルケースに10粒ほど忍ばせて持ち込む。

焼き上がった蒲焼きにパラパラパラ。
卓上の粉山椒なんか目じゃない。
今日から自家製実山椒ナシで鰻屋の敷居を
跨ぐことはなくなるでしょう、間違いなく。