2024年7月25日木曜日

第3587話 エビス顔 曇りのち晴れ

この日は渋谷区・恵比寿に現れた。
ビストロ「ル・リオン」を訪れる。
13時を回ったのに席は8割方埋まっていた。

セルヴーズ(女性の接客係)に
ビールの銘柄を訊ねたらエビスの生のみ。
冷たい飲み物が欲しいけどエビスじゃなァ。
「エビスは一番苦手なんだよネ」
「あら、そうなんですか?」
「ボクには重過ぎるんだ」
「ハァ、そうなんですネ」
せっかく来た恵比寿でエビス顔が曇った。

グラスワインは白・赤ともに
ラングドック=ルション。
スプリッツァーも出来るというので
白のそいつをお願いした。

デジュネ(ランチ)はかくの如し。
豚バラ肉煮込み・スズキのポアレ・
牛リブロースのステーキ・リヨン風サラダ・
ハムとグリュイエールのサラダ
サラダはスープ付きである。
決めてあったハムとグリュイエールをー。

冷たいかぼちゃのポタージュを飲みながら
ふと思いつき、セルヴーズに
「此処は恵比寿だよね? 」
「ハイ、そうですが・・・」
「せっかくだからエビスの生を
 飲んでみようかな」
「ハイ、かしこまりました」

結果、やっぱり重たくて苦くてー。
グラスには恵比寿さまが
鯛を抱えてエビス顔と来たもんだ。 

今日はあっちもこっちもサラダだらけ。 
この暑さじゃ、さもありなん。
スイスのグリュイエールは
ハードタイプのチーズでは一番の気に入り。
エビス顔が曇りのち晴れと相成った。

そこへ隣りに座った娘がJ.C.と同じ注文。
パクパクとハイペースだ。
サッと食べてサッと立ち上がる。
ん? んん? 
レタスやラディッキオは完食したが
細切りのハムとグリュイエールを
そっくりハネて残してるじゃないかー。

皿を下げに来たセルヴーズに
思わずつぶやいた。
「何だってコレを注文したんだろうね」 
「そうですよねェ」
 「せめてリヨン風サラダにするとかなァ」 
「ねっ、そうですよねっ!」 

何とも不可解。
近頃の若い娘のやることに
オッサンはついていけませんでした。

「ル・リオン」
 東京都渋谷区恵比寿1-21-16
 03-3445-8131