2011年7月26日火曜日

第104話 ハニーとともに叉焼を

6月下旬に誕生日を迎えた。
今年は祝いの会を開いてくれる奇特な方が多い。
この歳ともなると、けっして目出度くはないけれど、
無下にお誘いをお断りすれば、立たずともよい角が立つ。
よってありがたくお受けし、
その都度いそいそと出掛けるわけである。

この夜もその一環であった。
今後、当ブログで似たようなダイニングシーンを
紹介することになろうとも
誕生祝い云々に関しては触れないことにする。
なぜって、何だか自慢してるみたいだし、
キマリがみっとも恥ずかしい。
こう見えても(見たことない人のほうが多いか)
けっこうシャイな性格の持ち主なのである。

赴いたのは汐留は日テレタワーの「潮夢来」。
チョウムライと読みたくなるがチャオメンライと発音する。
「中国飯店」系列では比較的カジュアルな店だ。
メンバーは元横濱カレーミュジアム館長のO野チャン、
フードアナリストのA子・M央の両嬢である。

幹事のA子嬢は最初、
芝大門の「S飯店」を選んでくれたのだが
これは強制排除させてもらった。
何とならば旧著にて
「行ってはいけない有名店」の最右翼として糾弾したからだ。
こりゃいくら何でも行けんわな。
ところが、ここでささやかな悲喜劇が発生。
連絡不行き届きで、O野チャンが大門に行ってしまったとサ。
でもよかったよ、隣り街で。
これが芝でなく吉原大門だったら一大事だった。

小籠包と焼き餃子でビールを飲み、
乾焼蝦仁(芝海老のチリソース)から甕出し老酒に切り替える。
腰果鶏丁(鶏のカシューナッツ炒め)をはさみ、
締めは上海式の炒麺と中国醤油の黒炒飯。

ハズレのない中、特筆すべきはチャーシュー。
店側はハチミツ金色チャーシューを謳うが
何だかカタカナだらけのJ-ポップみたいで冴えないから
”蜂蜜金色叉焼”と明記してほしいな。
これで初めて名が体を表すこととなる。
ネーミングはさておき、
ハニーのアクセントで豚肉の旨みを引き出した逸品に
舌鼓がポンポン鳴ること請け合いだ。

使い勝手のよい店はカップルにも適している。
ハニーを誘って蜂蜜叉焼でもてなし、
食後は階上のラウンジで甘いささやき。
締めはハニー本体のお味見というのはいかがでしょうか?
この際、BGMはもちろん「A Taste Of  Honey」。
ただし、ビートルズ版だとポールの歌声で気が散り、
貴殿のポールに悪影響を及ぼすから
インストルメンタルのティファナ・ブラス版を推したい。

くれぐれも気をつけなきゃならないのは最後の詰めで
着地を誤ると一転、「A Waste Of  Money」の成れの果て。
おっと、これは
この曲を嫌ったジョン・レノンの受売りでした。

「潮夢来(チャオメンライ)」
 東京都港区新橋1-6-1 日本テレビタワー1F
 03-5568-1818