2011年7月8日金曜日

第92話 ソープ嬢が消えた! (その2)

花の吉原に来ている。
かつては”江戸三千両”の一翼を担ったあの吉原に。
何のこっちゃい? ってか!
江戸の昔は毎日、朝・昼・夜とそれぞれ千両、
金が動く場所があったのだ。
夜はもちろん吉原の遊郭。
では、朝と昼はどこだったのだろうか?
ふふふ、さあみなさん、お考えくださいまし。
答えは次回、週明けのの当ブログで発表しましょう。

さて、吉原といってもソープランドではなく、
日本そば屋の「梅月」に寛いでいる。
そば屋だからそばが食えるのは当たり前。
ところがここではありがたい(?)ことに
ソープ嬢の日常生活を垣間見ることもできるのだ。
東京広しといえどもそんな場所は
そうあるもんじゃございやせんぜ。
「梅月」には仕事明けのソープ嬢がひんぱんに現れ、
大きな声じゃ言えないが湯殿姫御用達のそば屋がここだ。

ちっとも梅雨らしさのない晴れた夕刻、
入店すると三十がらみの男たちが酒盛りの最中。
目の端にその光景をおさめながらテーブルに付き、
ビールを注文して驚いた。
何と数年前、「おとなの週末」に書いた、
おのれのコラムが目の前にピンナップだ。

Oh,My God!

それはそれとして店内を見渡すものの、
お目当て(?)のソープ嬢の姿がまったくない。
彼女たちはいったいどこへ消えたのだ?
思うにこの時間帯がいけなかったのかもしれない。
考えてみれば、ここに来るのは昼めしどきが多かった。
需要がないためか18時頃には暖簾を仕舞う「梅月」に
夕方やって来た記憶はあまりない。
夜に営業しても姫君たちはフル稼働中だものネ。

拍子抜けしてビールを飲みつつ天もりを頼む。
海苔は好まず、ざるではなくもりにした次第。

野菜の下に海老天が2尾

そばも天ぷらもそれなりの水準に達している。

酒盛りの男たちの会話が耳に入ってきた。
ややっ、おお、そうか、そうか、
彼らはソープランドの黒服たちであった。
ふ~ん、なるほど、得心して店をあとにする。

後ろ手に引き戸を閉めて二歩三歩と踏み出したとき、
背中に視線を感じて振り向いたら
今度はお狸が見送ってくれている。

どこまでも可愛いヤツだ

商売上、他の店を抜くから”他抜き”。
この者、ただのペット代わりではけっしてない。
店に繁盛を招く、お狸さまなのでありますぞ。

「梅月」
 東京都台東区千束4-27-12
 03-3872-7588