2011年7月15日金曜日

第97話 茄子の油焼き 男やもめのキッチン Vol.3

孤独な男が独り厨房に立ち、
出来うる限り手を抜いて料理に挑む。
今日は”男やもめのキッチン”シリーズ、
その第3回をお送りする。

梅雨らしい梅雨がないままに梅雨明け宣言。
今年はヘンな年である。
観測史上もっとも暑い6月を経験して
ヘロヘロになった向きも少なくなかろうが
おかげでビールがヤケに美味かった。
引き続き7・8月も暑く熱い夏であってほしい。
海水浴には行かないけれど、
ビールのためにもそうあってほしいのだ。

夏場のビールの友といえば論をまたずに
枝豆・冷やしトマト・冷奴が御三家。
ほかには谷中生姜・もろきゅう・エシャレットあたりかな。
ちょっと手を掛けて、鶏ささみの鳥わさ、
豚のロースやもも肉使用の冷やしゃぶなんてのもけっこう。

さて、J.C.の大好物にしてイチ推しは表題の茄子の油焼きだ。
茄子は今が旬、お盆の送り火には欠かせない茄子の牛だって
旬だからこそのご登場、自然の摂理には素直に従いたい。

水茄子の生食、巾着茄子の浅漬けもすばらしいが
もうちょい大き目の茄子は何てったって油焼きに限る。
茄子と油の相性が抜群だからだ。
遠く欧州の空の下でも茄子と油は名コンビ。
南仏料理の定番、ラタトゥイユは両者が主役を張っている。
イタリアのカポナータもまたしかり。
もっともトマト・玉ねぎ・パプリカ・ズッキーニあたりも
重要な役割りを担っていますがネ。

それでは茄子の油焼き、アラ・キュイジーヌ!

用意する食材(2人前)は  
 中ぶりの茄子・・・2個
 胡麻油・・・適宜
 根生姜・・・1カケ


茄子は手で触り、なるべく皮の柔らかいものを選ぶ。
真ん中で輪切りにしたら、ヘタに近い上半身は縦に4ツ切り、
下半身の大きいほうは縦に6ツ切りにする。
したがって1個(1人前)を10ピースに切り分けたことになる。

フライパンに胡麻油を落とし、茄子を整列(ここが大切)させ、
焼き目がついたら順に返しながらゆっくりと焼いてゆく。
適当に火が通ったところで皿に移し、
上から根生姜をおろし掛け、醤油を垂らしていただく。

たったこれだけのことである。
好みで刻んだ長ねぎや青しそやみょうがをあしらうのもまたよし。
オススメはみょうがか青しそ、あるいはその両方一緒だ。
よくあるのが茄子を丸焼きにし、皮をむいてしまうやり方ね、
好きな方には申し訳ないが個人的にアレはまったく合わない。
皮目の鮮やかな色あってこその茄子、
古くから”茄子紺”というではないか。