2011年7月13日水曜日

第95話 スタミナはつけたけど・・・ (その2)

霊園帰りの日曜日、夕暮れ迫る北千住。
居酒屋「MASUMASU」のカウンターにいる。
年中無休のこの店は鳥刺し・焼き鳥が主力商品で
茨城紅どりなる銘柄鶏を使用している。

チャンジャやキムチなど韓国風つまみのほかに
中華のピータンまであり、
よく判らんメニュー構成という印象は免れない。
突き出しが低評価だったため、その手のものはパスした。

初っ端に頼んだのは白レバー刺し。

見るからに鮮度高し

その朝に絞められたのだろう、光り輝いている。
穂じそ・大葉・小菊・青ねぎが添えられて純和風だ。

一切れつまみ、うなづいたのは納得したから。
やはり鳥メニューに絞り込むのが正解とみた。
鳥刺し系は、砂肝刺し、ささみ霜降り、
地鶏たたき、地鶏刺し三品盛りと、なかなかの充実ぶり。
とはいえ、刺身はレバーだけでじゅうぶんだ。

焼き鳥は、こころ・つくね・ヤゲンの3串を。
こころはハート、いわゆるハツのこと。

塩焼きのハツにレモンを搾って

ヤゲンはいわゆるナンコツである。
薬剤や薬草をすりおろす薬研に似ているのでこう呼ぶ。
両国橋の西詰、浜町河岸そばに薬研堀不動院がある。
かつてここには薬研堀なる運河があった。
江戸の昔、この地には米蔵が立ち並び、
各地から積荷を満載してくる船のために
薬研の如くにV字形の深い堀が欠くべからざるものだった。

メニューに鳥レバのガーリックバターを見つけた。
ついさっきレバ刺しを食べたのに再び食指が動く。
心配性の御仁なら痛風を怖れて尻込みするところを
頓着しない性格につき、ためらいもせず追加注文。
すると固形燃料を仕込んだ鉄鍋が登場するではないか。
温泉旅館の夕食時に活躍するあの小鍋である。

着火後、5分もすればすぐに食べ頃。
付いてきたのか、別注文したのか忘れてしまったが
とにかくバゲットとの相性がよい。

鮮度を信じてあまり火を通さずに

ハムでもパテでもパンにはさんじゃうのが好きだ。

図らずも大量のスタミナ補給と相成った。
かくなるうえは千住から遠くない吉原に繰り出すのも一法。
ところがどっこい、そっち方面はトンと不調法なわが身、
貯えたエネルギーをどこへ放出したら歓ばれよう。
エネットあたりで買電してくれりゃ一番いいが
そんなことあるわけないわな。

「MASUMASU」
 東京都足立区千住2-62
 03-3870-4548