2011年7月18日月曜日

第98話 ありがとう なでしこ娘!

おめでとう、なでしこジャパン!
ありがとう、なでしこ娘!
こんなにうれしい慶事は久しぶりだ。

しっかし、こういうことってあるもんですなァ。
アメリカチームには気の毒だけど、
サッカーはこれがあるから怖い。
この球技には押して押して押しまくっても、
ついに勝てない試合があるのだ。
これがバスケットだったならアメリカの大楽勝もいいところ。

ゲームを振り返れば、すべての点でアメリカが優れていた。
勝利の女神は日本に微笑んだものの、
彼我の差はまだまだ埋められていない。
過去、21敗3分けもむべなるかな。
立ち上がりからガンガン飛ばしてきたから
そのうちバテるとタカをくくっていたらトンデモない、
心身ともに最後まで頑張りきってしまった。

フィジカルの強さ・高さは大人と子ども、
あるいは男と女ほどの差があった。
接触のたびに跳ね飛ばされる当たり負けは目をおおうばかり。
走力にしたってスピード(短距離)、
スタミナ(長距離)ともに相手が上だった。
キック力もずいぶん違うし、日本得意のパスワークですら
あちらがより正確ときては神仏に祈るほかすべはなく、
まさに奇跡の勝利というほかはない。

そのたびに肝を冷やした相手のシュートが
ゴールポストとクロスバーをたたくこと計3度。
アメリカのコーチ陣も選手たちも
信じられぬ思いの敗戦だったろう。
「何でわたしたち、負けなきゃいけないの?」―
神の存在を疑い、運命のいたずらを呪ったに違いない。

日本がアメリカにまさっていたのは
少ないチャンスをものにした、その勝負強さくらい。
あとは肝心要のPK戦か。
PKに関する限りは
蹴る選手も守るGKもデキ過ぎの感さえあった。

GK海堀は頭上のボールが弱点ながら
PKを止める技量はアジア杯の川口を彷彿とさせた。
最初に蹴った宮間もたいしたものだ。
遠藤以外のコロコロPKには初めてお目に掛かった。
小さい身体にあの童顔ながら
やり遂げる仕事はプロの殺し屋に匹敵しよう。
しぐさはひょうきんだが、ありゃ只者ではない。

そして特筆すべきは延長後半に追いついた2点目。
宮間と澤のサインプレーは実に男顔負けだ。
スウェーデン戦とは打って変わった戦いぶりに
勝つ見込みを見出せないままでいたTVの前のファンを
地獄から救い出してくれた値千金のゴールだった。

W杯制覇という長年来の見果てぬ夢を
まずはなでしこ娘が達成してくれた。
次はザック・ジャパンの番だが
これ以上の無理難題はそうあるものじゃございません。