2011年11月2日水曜日

第175話 念願かなって江戸っ子天丼

ずいぶん以前の散歩である。
すでに消滅した花街・柳橋を起点に歩き始めた。
浅草橋から鳥越、鳥越から台東、
ほどなく御徒町に差し掛かろうとするところで
1軒の天ぷら屋を発見する。
その名を「天正(てんまさ)」といった。

昼夜のはざまの休憩時間だったが
下町チックな小商店街になじんだ佇まいを見て
胸に期待がふくらんだ。
帰宅後、検索してみたら
思いのほか変化に富んだ品書きが気に染まった。

HPによると、いの一番のオススメは
穴子の天ぷら丼つゆつけ(550円)で
これは17:30からのメニューとあった。
ほかにも穴子の胆(400円)、とんぷら(2つで250円)、
鳥手羽の仙台味噌焼き(550円)など、
そそられるものが揃っている。
胆はもちろん肝のこと、とんぷらは豚ヒレ肉の天ぷらである。

なかなか訪れる機会に恵まれず、
2ヶ月ほどして独り、夕刻に出掛けると
カウンターもテーブルも予約で満席。
それでは出直しましょうと、そのまた1ヶ月後の夜に再訪したら
店内に客の姿はないものの、またまた予約でいっぱいだという。
ことここに及び、温厚なJ.C.もさすがにハラタツノリ。
(そう言やあ、一昨日は原監督、お疲れさんでした)

仕方なく当夜はヨソに回ったが
一度ならず二度までもフラレると腹の虫がおさまらない。
おさまらないが結局は薬局、夜はあきらめて
昼の天丼に狙いを定めたのがそのまた1ヶ月後だ。

注文したのは江戸っ子天丼(850円)。
待つこと10分でどんぶりが整い、
わかめの味噌汁、野沢菜&たくあんを従えて運ばれた。
天丼の内容は穴子と海老が1つずつに、いかが2片。
ビッグサイズの大葉みたいなのはおそらく明日葉であろう。
見るからになかなかの豪華版である。

まずは好物の穴子から。
尻尾のほうをパクリとやって一噛み、二噛み。
アレレ、何か変ンだぞ、旨みがどこぞにもれちゃってる。
海老はどうだろ? やっぱり不満。
さてさて、いかは? これも何だかなァ。
念願かなって入店をはたしたものの、
この程度の天ぷらならば、あらためて夜に出直すこともない。

界隈はときどき出没するエリアである。
目当ては美しいバーテンダレス、
A子サンがたった独りで取り仕切るバーだ。
エッ? どこの何て店だ! ってか?
へへへ、こればっかりはいかに敬愛する読者の皆様といえども
そうやすやすとはお教えできないッス。
興味がおありの方は台東1~3丁目をくまなく探してごらんなすって。

「天正」
 東京都台東区台東3-8-8
 03-3831-9553