2011年11月18日金曜日

第187話 トーマス・クラウン事件

今日のサブタイトルにピンときた人はかなりの映画通。
今は亡きスティーヴ・マックイーン主演の映画、
原題は「The Thomas Crown Affair」である。
日本語タイトルは「華麗なる賭け」。

1968年の作品だが1999年に
ピアース・ブロスナン主演でリメイクされ、
タイトルはそのまま「トーマス・クラウン・アフェアー」。
フェイ・ダナウェイが30年の時を超え、
どちらにも出演しているのには驚いた。
オリジナルではヒロインの保険調査員、
リメイクでは精神分析医という役柄だ。

印象深いのは断然マックイーン版。
確かダスティン・ホフマンの「卒業」との併映を
池袋東急で観た記憶がある。
映画の出来映えもさることながら主題歌がすばらしい。
マックイーンがグライダーで空を飛ぶシーンで流され、
心に深く深くしみ入った。

その年のアカデミー主題歌賞にも輝いた名曲は
「風のささやき(The Windmills Of Your Mind)」。
歌ったのはレックス・ハリソンの息子のノエル・ハリソン。
レックスは「マイフェア・レディ」のヒギンズ教授役が有名。

この曲はほかにもありとあらゆる歌手がカバーしている。
思いつくままに挙げてみると、
ダスティ・スプリングフィールド、バーバラ・ストレイザンド、
ペトゥラ・クラーク、ティナ・アリーナ、ナナ・ムスクーリ、
エヴァ・メンデス、ヴィッキー・レアンドロス、
ホセ・フェリシアーノ、スティング、ジョージ・ベンソン。
ねっ、ものすごい顔ぶれでしょ?

おしなべて女性歌手が秀でており、
ダスティ、ナナ、エヴァ、ヴィッキーが好きだ。
ギリシャ人のヴィッキー・レアンドロスは
「恋はみずいろ」、「待ちくたびれた日曜日」で
一時期、一世を風靡したあのヴィッキー。
驚いたことに現在の彼女は
アテネ近郊の港町、ピレウスの副市長におさまっている。

そして忘れてならないのがこの曲の作曲者、
ミシェル・ルグランであろう。
「シェルブールの雨傘」、「おもいでの夏」のルグランだ。
仏語で文字通りささやくように始まり、
徐々に強弱とテンポのメリハリが効き出し、
しまいには狂ったが如くのジャズり方。
加えてハスキー・ヴォイスにはアズナブールも真っ青だ。
多才なルグランは作曲だけでなく、
歌手にしてピアニスト、はては俳優までこなしてしまう。

かれこれ15年余り前、森山良子とのジョイントコンサートを
ニューヨークのカーネギー・ホールで観た。
両者の息はピッタリで、その後日本ツアーが組まれた。
カーネギーではシャルル・アズナブールと
ライザ・ミネリのジョイントもすばらしかったなァ。

とにもかくにも、名立たる歌手がこぞって歌いたがった、
「風のささやき」をぜひ、youtubeでお聴きくらべあそばせ。
ついでに映画の「華麗なる賭け」もご覧あそばせ。