2011年11月30日水曜日

第195話 帰って来たヨッパライ

♪   おらは死んじまっただ
   おらは死んじまっただ
   おらは死んじまっただ
   天国に行っただ
   長い階段を 雲の階段を
   おらは登っただ ふらふらと ♪
          (作詞:松山猛)


ザ・フォーク・クルセダーズがかっ飛ばしたヒット曲、
「帰って来たヨッパライ」(1967年)の出だしである。

主人公の”おら”は酔っ払い運転で天国に行った。
今のご時世だったら頭の固いオバさんたちが
飲酒運転を助長するとかなんとかイチャモンつけて
しかもそんなヤツは天国じゃなく、
地獄に落とせ!とかなんとか言っちゃって
さぞかし物議をかもしたことであろうよ。

ハナシをJ.C.の実生活に移す。
一月半ほど前のこと。
わがよき友が日本に帰って来た。
花の都・パリからの里帰りだ。
しかもこれがトンデモないヨッパライなのである。

彼女の名はM由子。
そう、このブログの前身、「食べる歓び」を
ご愛読いただいた読者なら覚えている方もおられよう。
行きつけの和食店「やまじょう」のひとり娘だ。
フィアンセのH大がシャンパーニュは
ランスのレストランで料理人をしていて2人はパリ在住。
M由子のほうだけ年に1度、
ビザ(査証)の関係もあって帰国して来るのである。

いきなりハナシは飛ぶが彼女の愛読書は
浅田次郎の「天切り松 闇がたり」シリーズ。
ここに登場するのが目細の安吉親分で
一家の最初のヤサが抜弁天(厳島神社)にあり、
ひょんなことからそこへM由子を案内する手はずとなった。
所在地は永井荷風ゆかりの新宿区余丁町。
実はこの小説に荷風センセイも実名で登場する。

ものはついでの帰りがけ、抜弁天近くの「蛍」へ廻った。
しばらくマスター夫妻の顔を見てないこともあって―。
一見、パブ風の「蛍」は見かけによらずコース料理がウリ。
それもかなりのボリュームで
揚げ肉団子、炒り玉こんにゃく、すき焼き風肉豆腐、
なぜか真っ赤な柳麺、好物の豚ペイ焼きなどをいただいた。

もちろん酒もしこたま飲んだ。
プレミアムモルツに始まり、生(き)のウォッカ、
金宮焼酎のフレッシュグレープフルーツハイ、
アブサンのカクテル、バーボンのミントジュレップと何でもござれ。
自慢じゃねェけど、チャンポンなんてヤワなもんじゃありやせん。

このあたりでやめときゃいいのに神保町に移動する。
2軒目はすずらん通りの「ビストロ リベルテ」。
ビストロというよりバーラウンジみたいなフロアには
食べてる客より飲んでる客のほうが多い。
もっともここで食べてもあまり旨いものはない。

飲み直しはもっぱらアサヒの生とリカールの水割り。
夜が更けてなおもガンガン飲りながら
話題はありとあらゆる方向へ飛びまくる。
気がつけば明け方の4時過ぎだったぜ。
自分のオンナでもない女と飲み明かしの語り明かしなんて
ここ数年、まったく記憶にございません。
しっかし10時間も飲み続けるとは、お互いバッカじゃないのっ!
死んじまいはしなかったけど、おらはヨッパラッただ!

「蛍」
 東京都新宿区余丁町4-4
 03-3356-4748

「ビストロ リベルテ」
 東京都千代田区神田神保町1-5-5島田ビル4F
 03-5280-1233