2011年11月9日水曜日

第180話 パリの匂いがした男

 ♪ Sous le ciel de Paris
      S'envole une chanson hu~m  ♪


今日はいきなりの横文字でスタートです。
何のこっちゃい? とお思いの方も多いことでしょう。

♪ が顔を出しているので
歌の文句だということはお判りいただけたと思う。
そう、これは195年のフランス映画、
「パリの空の下セーヌは流れる」の主題歌、
「パリの空の下」なんですね。
映画ではジャン・ブルトニエールが
アコーディオンを弾きながら歌っていたっけ・・・。
その後、20世紀のフランスが生んだ最大の歌手、
イヴ・モンタンが歌って大ヒットとなった。

201年11月9日。
本日はイヴ・モンタンの命日に当たる。
(そういえば昨日はアラン・ドロンの誕生日だった)
192年生まれのモンタンは20年前、
199年の今日、満70歳で亡くなった。
関係ないけど、J.C.が初めてパリを訪れたのは197年。

そんなことでイヴ・モンタンの歌声を懐かしんで
故人を偲ぶよすがとしたい。
「恐怖の報酬」、「恋をしましょう」、「Z」など、
俳優としても活躍した彼の持ち歌のうち、
マイ・ベストスリーは
① 「パリの空の下」
② 「枯葉」
③ 「パリで」


冒頭に紹介した①はモンタンの声質にピッタリの名曲で
伸びやかな歌声があたかもパリの街角に流れるかの如く。

②は映画「夜の門」で主役を演じた彼自身が歌ったもの。
詩的なモノローグで始まるのだが
この曲はジュリエット・グレコのほうが好きだ。
そしてナット・キングコールの英語版が実に味わい深く、
ジャズのインストルメンタルでもすでにスタンダードナンバー。
「枯葉」はジャズると別の魅力を発揮する。

③はアップテンポの軽快な曲。
あまりの早い節回しに聴いてるほうがあわててしまう。
この曲に限り、ほかの歌手が歌うのを聴いたことがない。

もともとモンタンはトスカーナ生まれの生粋のイタリア人。
父親が熱烈な共産党支持者だったため、
ファシストの暴徒に襲撃され、
一家で南仏のマルセイユに落ち延びた。
にもかかわらず、彼ほどパリの匂いのする歌手はいない。

すでにかなわぬ夢となったが
マリア・カラス、エルヴィス・プレスリーとともに
願わくばナマで聴いてみたかった歌手である。