2012年3月5日月曜日

第265話 築地市場をブラブラと (その2)

築地場内の飲食店の栄枯盛衰をチェックして場外に出た。
テリー伊藤の実家の玉子焼き屋の前には若者たちの小群れ。
TVのチカラは大きいなァ。

おでん種はじめ、練りモノ製品で有名な「築地佃權」、
その隣りの「田所食品」にて紅すじ子を買い求めた。
紅すじ子は紅鮭の腹子。
大きめのヤツ2腹が900円也はデパ地下の半値以下だ。

並びの店では「第二築地製麺所」の細打ち中華麺。
これを塩と醤油のスープとともに購入する。
麺5玉にスープ2袋を所望したら売り手のオジさん、
「スープは2つでいいの?」―その気持ち判るが
「いいの、いいの」と軽くいなし、買物の継続だ。

築地一番の人気を誇るラーメン「井上」の店先は
いつものように黒山の人だかり。
化調を感じさせすぎるスープはどうかと思うが
人々はシコシコ麺とタップリ叉焼が目当てかもネ。

「井上」の数軒先、「豊吉」の店頭で足が止まった。
ここは京野菜など、稀少な青物がウリの店。
足を止めさせたのはコイツである。
神津島産のとうみょう(豆苗)

夕飯の買物をしない男はいざ知らず、
家庭の主婦なら豆苗をご存知のハズ。

ここ十数年、スーパーにも並ぶようになった豆苗は
実を言うと本来の豆苗ではない。
大根の貝割れの如く、えんどう豆の苗だから
ニセものとは言えないけれど、
真っ当な中国料理店が使う豆苗とは別物だ。
本来はえんどう豆の苗ではなく、若芽のことを指す。
それが証拠に香港や台湾の料理屋で
日本の豆苗を出したらクレームがつくだろう。
当然、食味は若芽のほうが数段よろしく、値段もずっと高価。
日本の青果店でホンモノを見たのはこれが初めてだ。
パッケージから出すとこんな感じ

カメラに収めていると何が気に入ったのか
愛猫プッチがムシャムシャやり始めた。
猫にも草食系はいるんですネ

豆苗の料理法はいたって簡単。
油でサッと炒めるだけでよい。
味付けは塩コショウでじゅうぶん。
本場に近づけたい向きは上湯を少々掛け回す。
一般家庭に上湯なんかあるわきゃないから
市販の鳥ガラスープを代用しよう、できれば無化調の―。

小松菜・ほうれん草・青梗菜・空芯菜と
この世に青菜炒めは数あれど、豆苗を超えるものはナシ。
もしもどこかで遭遇したら、迷わず試していただきたい。
魅了されること、保証しましょうぞ。

「豊吉」
 東京都中央区築地 4-8-7
 03-3541-26883