2012年4月5日木曜日

第288話 広島焼きを食べました

たびたび書いているが西荻の町が好きである。
コンパクトで落ち着きのある佇まいが気に入っている。
逆に大きなロータリーが駅前にあって
バスやらタクシーやらが幅を利かせ、
歩行者はグルリと迂回しなければならない町は嫌いだ。

のみとも兼パイとも(ポン友)のフタちゃんから
耳寄りの情報が寄せられた。
某大手金融機関にお勤めの彼とは
かれこれ四半世紀のつき合いになろうか。
ニューヨークの滞在も重なっている時期があった。

とにかくフットワークが軽い人で交友関係も広い。
驚いたのは去年の震災後、
住んでいた足立区の地盤は心もとないと
またたく間に杉並区に引っ越してしまった。
疾きこと風の如しとはこういうことをいう。

寄せられた情報とは掘出し物のお好み焼き屋を
西荻に発見したというもの。
お好み焼きは不得意ジャンルだが
信頼できる御仁に太鼓判を押されては行かずばなるまい。
かつて西荻に棲んでいた編プロ勤めの友人を誘い、
やって来たのは土曜日の灯ともし頃。
うん、いつ来てもこの町は来訪者に優しい。
南口のバス通りを南下すること10分弱。
五日市街道にぶつかる角地に「カンラン」はあった。
あれれ、ここは以前モーターバイク屋だったんではないかな?
編プロくんが相槌を打ったから間違いない。

さっそくメニューを開いてガックシ。
ビールがモルツの生だけだぜ。
無いよりマシだってんで失意の乾杯に及ぶ(やっぱ旨くねェ)。
さて何を食うべェかと壁の品書きを見てのけぞった。
スーパードライの瓶があるじゃないのっ!
貴重な最初の1杯をムダにしちまったじゃないか!
なぜ、初手からメニューにも明記せぬ!
!マークの三連発だぜ、ったく!(四連発か)。

気を取り直してフードの注文である。
評判が高いというスジポン酢はまずまず。
広島菜漬はまあそれなり。
そう、ここはお好み焼きでも広島焼きの店なのだ。
新じゃがとクレソンのポテサラはどうってことなし。
おあとのチーズ鉄板焼きが当夜のMVPであった。
焼かれたチーズは香ばしさがつのり、ワインがほしくなったほど。
締めのそば肉玉は広島焼きの定番であろう。
焼きそばを包み込んだところを鉄ゴテで一口サイズに切分ける。
これもよかった。

支払いは2人で5千円弱。
月島のもんじゃタウンが証明するように
高価な食材を使用するわけじゃないから
こんなものかと思うけれど、同じ目の前で焼かれるのでも
黒毛の霜降り牛とはすさまじい価格差だ。
無理してあんな身体に悪いものを食うくらいなら
じゃんじゃんお好み焼きを食べ続け、
差額をせっせこ貯金したほうがよっぽどお利口さん。
将来の年金なんかまったくアテにならんのだからネ。

「カンラン」
 東京都杉並区西荻南2-6-23
 03-3334-5077