2012年4月13日金曜日

第294話 かつては花街だった町 (その3)

ここ数日、名残りの桜を求めて
昼下がり、あるいは夕暮れどきにさまよっている。
昼めしのあとか、晩酌の前に花見を楽しむのだ。
いや、晩酌前というのは当たらない。
花を愛でながら晩酌はすでに始まっているもの。

月曜日の午後、新橋にて取材のための昼食後。
JR山手線・メトロ銀座線・都営三田線とあるうち、
どれに乗ろうかナと、駅前で迷っていた。
さすがに臨海線ゆりかもめはハナから除外した。
フジテレビの職員でもあるまいし、
お台場に出掛けていっても身の置き場に困る。

3線どれでも構わなかったが乗車したのは銀座線。
下車駅は上野広小路である。
となれば行く先は上野のお山か不忍池しかない。
ここは水のある風景に軍配が挙がった。

池のほとりのベンチに独りくつろいでいると、
隣りに座った知らないオジさんに声を掛けられた。
「あれはサンシャインですか?」
「ハア~?」
一瞬からかわれているのかと思ったネ。
スカイツリーを指差しながら、のたまうんだもの。
先方もすぐ勘違いに気づいたらしく苦笑い。
しばし予期せぬ談笑と相成った。

おっと、そんなことより平井の続きだ。
危ない、あぶない。
居酒屋「松ちゃん」に参集したのは総勢11名。
♂4名、♀7名はみな同い年ときたもんだ。
揃って同窓というわけではなくて
おのおの中学か高校のどちらかで絡んだ間柄である。

前回の訪問で刺身に疑問符がついたものの、
こういう宴会においては予約の際に
刺盛りだけは通しておいたほうがスムースにことが運ぶもの。
てなわけでテーブルには3枚の大皿がデンと居座った。
ちと頼みすぎの感否めずである。

平目・かつお・海胆をつまんだ記憶はあるが
あとはトンと覚えちゃいない。
新潟は新発田の酒、菊水の燗を2~3合は飲んだろうか。
料理の守備範囲の広い店だ。
誰が注文したものか、
焼き米粉やスパゲッティ・ナポリタンまで出て来たゾ。

旧花街真っ只中のこの界隈。
昨日記した「まじま」や「からさわ」のほかに
うなぎの「魚政」なんかも一訪の価値ありそうだ。
何よりも近々、金目鯛の「きんめ家」だけは再訪し、
リベンジを果たしておかなければ!

=おしまい=

「松ちゃん」
 東京都平井3-26-4
 03-3638-1682